GC4(ジーシークワッド)という弾道計測器をご存知でしょうか。弾道のデータやクラブの動きが計測できる優れモノで、ゴルフの科学者と呼ばれるブライソン・デシャンボーはこれを2台用いて普段練習しています。
他にも多くのプロが使用する計測器ですが、それをグリーン上でも使ってしまうのはデシャンボーだけ。それに加えて、振り幅を定規で測ったりしながら、物理的に練習をしています。
はっきり言って、デシャンボーが練習している周りだけ明らかに異質な空気。なので、周りのプロたちも「一体、なにをやってるんだ?」と怪訝な表情でしばしばやってきます。
「メモリアル」の練習日にデシャンボーの元を訪れたのは、パット・ペレス。「なにやってんの?」と話しかけます。
「データを見ながら、基準となる振り幅に対して何パーセント振り幅を大きくするとどうなるか、とかを考えながらやっているんだ。距離感の練習だよ」
とデシャンボー。すかさずペレスは、「そんなこと考えながら打てんのかよ!?」とツッコミ。「すごいアップヒル(上り)の場合はどうするんだ? 上って下るラインの場合は?」と、少々意地悪なツッコミを立て続けに入れていきます。
「データをもとに、自分なりに計算して、(距離を)足したり引いたりして、パーセンテージを出すんだよ」と涼しい顔でスラスラ説明するデシャンボー。
「お前……クレージーだな」ペレスがそう言って呆れていると、続いてやってきたのはジム・フューリックです。大ベテランにも「なんだこれは?」と質問されたデシャンボー。ペレスに聞かれたときと同様に、自身の練習の意図を説明します。
“怪訝”という言葉でしか表せないような表情を浮かべるフューリック。ひとしきり説明を聴き終えると、なんと一言もリアクションせずに立ち去ってしまいました(笑)。感覚派のフューリックにとっては、完全に理解不能だったのでしょう。
43歳のペレス、49歳のフューリックに、デジタル世代のデシャンボーの理論は、受け入れがたいようでした。一方で、年齢24歳と25歳のデシャンボーと同世代のマシュー・フィッツパトリックなどは、「ああ、なるほど。そういう使い方もあるんだね」と納得していました。このあたり、世代の違いが如実に出て面白いですね。
最後に、計測器でなにを測っているかを知るべく写真を撮ってもいいかと聞いてみましたが、残念ながらNG。「ボールスピード……」「ローンチアングル……」という言葉が聞こえてきたので、ボールの初速や打ち出し角などを計測しているようです。繰り返しになりますが、パッティングの話です。
初日は78位タイと出遅れてしまったデシャンボー。明日以降の巻き返しに期待したいですね。