はじめまして、ゴルフライターの鈴木康介と申します。今回、「みんなのゴルフダイジェスト」で人気の鈴木真一プロのレッスンを、ライターの僕自身が体験させてもらい、レポートすることになりました。僕は平均スコア90ちょっとのアベレージゴルファーですが、仕事柄、知識だけは豊富だけれど練習不足でそれが実行できない典型的な「頭でっかちゴルファー」です。僕は日ごろ、自分自身が記事の表に出ることは避けてきましたが、「みんゴル」の読者にも僕と似たタイプのゴルファーは多いと思いますので、僕の実例がそういった方々にとっての参考になればと思い、今回は恥を忍んでモデルになってみました。
今回僕が鈴木プロにぶつけた悩みは「ショートアイアンの引っかけ」です。しかし、実際は引っかけ自体を直してもらうというよりも、このミスは自分のスウィングの欠点の表れだろうと感じていたので、引っかけの修正を入り口に、スウィング全体のレベルアップができればいいと思っています。鈴木プロもその点を理解してくださっており、数発のショットを見て僕のスウィングが抱える問題を見抜き、そのための対策を施してくれました。
僕の自己分析としては、昔から体が開くのが早い傾向があるうえショートアイアンが左に出て左に曲がるということは、クラブパスがアウトサイド・インのカット軌道なのだろうということ。また、調子が悪くなるとターフが深くなるタイプですし、ドライバーのバックスピン量も多いほうだったので、入射角もスティープ(鋭角)だろうという予測もありました。しかしスウィング軌道自体はかなりフラットなタイプですし、最近では初心者時代のようなスライスも減り、調子がいいとドローが出ることもあるので、単なる手打ちや引っ張りこんでひじが引けるような典型的なスライサー的動作が問題というわけではないだろうとも考えていました。
鈴木プロの最初の指摘は、アドレスでした。実はゴルフのレッスンというのは、本質的な話をすると、スウィングの問題のほとんどはアドレスで大きく改善されてしまうものなんです。実際僕自身、調子が悪いときはアドレスがおかしくなることは自覚していたので、アドレスを指摘されること自体は想定内でした。
しかし意外だったのは「ボールから遠い」「ひざを伸ばしすぎ」と指摘されたこと。実は僕自身は腰痛持ちで腰の動きが悪いこともあり、以前はアドレスで股関節が入らず、かかと体重気味になってお尻が下がる傾向があったんです。そのため、ボールと体の距離が近くなってスウィングが「詰まる」ことが多かったので、まさか「遠い」と指摘されるとは思いませんでした。
しかし思い返すと、ずっと「ボールに近くならないように」と意識していたり、昔はイヤで仕方がなかった自分のフラット軌道を近年は「個性」だと諦めて受け入れ、最近ではあえて横振りを意識してスウィングしていたこともあり、ボールから離れて立つ意識はありました。また、レッスン取材の現場などで、「アマチュアのアドレスの典型的悪例」として「ヒザが曲がってお尻が落ちる構え」が糾弾されるのを度々見てきたことから、自分はそうなるまいと、ひざを伸ばし気味する意識は確かにありました。こう指摘されると、これらがやりすぎの「オーバードゥ」になっていたかもしれないということは否定できません。
鈴木プロの指摘によると、僕はアドレスがボールから遠いせいで、そのままインサイドからボールをとらえようとするとボールに「届かない」ため、クラブを外回りさせて下ろしてくることで「届かせる」動きが生じていたとのこと。その動きがカットでスティープなインパクトにつながっていたのです。
実際に体のポジションを直されて正しく構えてみると、「あ、いい構えって確かにこうだ」ということは即座にわかり、いままでの自分のアドレスの問題点が見えてきました。特に「足首を曲げる」ことを意識すると、いままでハマらなかった下半身のポジションが従来よりもバランスよく収まるのがよくわかります。
一方で「ひざとお尻を遠ざける」というイメージは、最初はどのポジションが正解かしっくり来ず、自分ひとりで再現できる気がしませんでした。しかしこれも「ジャンプして着地したときの感じ」というアドバイスでピンと来るものがあり、取り入れられそうな感じがしてきました。
このほか個人的には、上腕のポジションに新たな発見がありました。従来は上腕が前に出て胸の前側にテンションがかかり、上腕を胸に乗せるように構えていたのですが、もっと肩を下げるようにして上腕を外旋させ、わきの下の背中側にテンションがかかるように構えるように指導されました。なるほど、これなら腕と上体が連動しやすくなります。しかしすぐには腕が「収まる」位置がしっくり来なかったので、慣れるまでには時間と練習が必要だと思います。
こうやってアドレスを直されると、従来よりボール1~2個ぶんくらい近づいて立っているはずですが、構えてみるととくに「近い」とは感じませんでした。
これは、体の各ポジションが正しく収まっているので、そのままでも「当たる」ことが感じられているからでしょう。まだこのアドレスが身につくには時間と練習が必要でしょうが、方向性は見えてきました。
次からはいよいよ、このアドレスを前提としたスウィングの改善。楽しみです!
協力:トータルゴルフフィットネス