「生卵が潰れるくらい」がスタンダード?
「ショットのグリップ圧のイメージですか。そうですね、生卵がつぶれるくらいですね。ショットよりはパットのほうが少しやさしいと思います」(鈴木愛)
グリップの握りの強さを聞くと、生卵で表現してくれた鈴木愛。グリップはゆるく握るのがいいというのはよく聞く話だが、実際に握ってもらったところ、「ゆるい」という印象はない。
同じように「しっかり握る」と回答してくれたのは小祝さくらと渋野日向子。
「左右半々くらいの強さで、あまりゆるくは握らないです。生卵ですか? つぶれるくらいだと思います」(小祝)
「構えたときは生卵が割れないくらいだけど、このくらい(切り返しからダウンスウィングにかけて)で割れちゃいますね(笑)」(渋野日向子)
また、幡野夏生もしっかり派。
「前まではふにゃふにゃに握っていたんですけど、井上透さん(コーチ)にそれだとダメだよ~って言われて、しっかり握るようにしてます。とくにラフのときはめっちゃ強く握ります」(幡野)
等々、意外なほど「しっかり握る」という回答が返ってきた。この3選手にも指を握ってもらったが、面白かったのは鈴木も含めた全員の“圧”がかなり似ていたこと。たしかに、生卵が割れるか割れないかという感じだ。
女子プロの平均は生卵が割れるくらいか……? と思いきや、一転驚くほどゆるく握っていたのが飛ばし屋・松田鈴英。
「私は基本左手重視で右手に力入れないんですよ。左右の割合は7:3くらいで左ですね」そう語ってくれた松田に左手で指を握ってもらうと……実にやわらかい! 指を握るという感覚ではなく、包み込むだけといった印象だ。
決してゆるい、というわけではなく、しっかりホールド感はあるものの、やさしく握っていた。生卵でいえば、このやさしさなら潰れないくらいだ。このグリッププレッシャーで平均255.19ヤード飛ばしているなんてすごすぎる……!
「グリップはゆるめがいい」というのは、普段グリップをギュッ! と握りしめてしまうアマチュア向けのメッセージなのかも。実際のプロたちは、松田鈴英を除いてはかなりしっかりとグリップを握っていたし、一番やさしく握っていた松田にしても、“ゆるい”という印象はなかった。
では、パットの場合はどうなのか? それはまたの機会にレポートしたい。
取材大会/アース・モンダミンカップ 撮影/矢田部裕