舞台は「アイルランドのセントアンドリュース」
全英オープンまであと2週間。欧州ツアーは今週アイリッシュオープン、次週スコティッシュオープンとリンクスコースを続けてまわって全英オープンへと向かいます。普段アメリカで戦うことが多い欧州の選手も多くエントリーしていて、この時期の欧州ツアーはとても華やかな雰囲気がします。
今年のアイリッシュオープンの会場はアイルランド西海岸、大西洋に面するラヒンチ・ゴルフクラブ。全長7,036ヤード、パー70という設定。127年前1892年にオールド・トム・モリスによって造られた歴史あるコースで、「アイルランドのセントアンドリュース」と呼ばれています。
オーガスタナショナルの設計家アリスター・マッケンジーや近年ではロイヤル・バークデールの改造を手がけたマーティン・ホートリーなどによりコース改造がなされてきましたが、今回の会場になるラヒンチGCのオールドコースはトム・モリスの当初の設計がまだ色濃く残っているということです。
その特徴的なホールのひとつ、ラヒンチの名物5番ホールは154ヤードのブラインドパー3です。「Dell(小さな谷)」という名前が付いていて、グリーン面を隠している手前の砂丘の頂上に白い石が置いてあり、その石が狙い目となっているという世界的にも珍しいパー3です。
優勝候補筆頭に挙げたいのがジョン・ラーム。一昨年初めて出たアイリッシュオープンでは、2位に6打差をつけてぶっち切りでの欧州ツアー初優勝でした。昨年は惜しくも4位タイ。今週の大会前の会見でも「アイルランドに来るとなぜかわからないが、とても心地よい気持ちになる。ファンの応援もとても力強く、母国でプレーをしてるような気持ちになる」とアイルランドとの相性の良さを語っています。
先週母国スペインで行われたアンダルシア・マスターズでは2位タイ、その前の全米オープンでは3位タイと、ここのところ流れは上向きです。ここでもし勝つことが出来ると、再来週の全英オープンが非常に楽しみになってきます。
もうひとり挙げたいのがイギリスのマット・ウォレス。ここ2、3年で急成長している選手で、欧州ツアーで4勝を挙げています。最近の試合では全米プロで3位タイ、全米オープンでは12位タイ、直近ドイツで行われたBMWインターナショナルで3位タイと、2019年に入ってからまだ優勝こそないものの2位と3位が2回ずつあり、現在欧州ツアーのランキング、レース・トゥ・ドバイではトップに立っています。
過去リンクスコースではあまり良い成績が出てませんが、現在の充実度から考えると間違いなく優勝候補のひとりでしょう。
今年のアイリッシュオープンは2014年ライダーカップキャプテンのポール・マッギンリーが大会ホストを務めます。マッギンリーによると2週間後の全英オープンに向けて良い練習になるように、グリーンスピード、フェアウェイ幅、ラフの長さなど、出来る限りロイヤルポートラッシュと同じようなセッティングになるように配慮したと言っています。
アイリッシュオープンをプレーした選手が全英オープンで優勝したケースは、は2014年のマキロイ以来出ていません。全英オープンへ向けての流れという点でもアイリッシュオープンの動向は注目です。