小学生時代、青木は不動の「おっかけ」だった
「私、小学生のころに不動さんの“追っかけ”をしていたんです。(地元である)群馬の試合を毎回見に行っていて、不動さんが赤いウインドブレーカーを毎回着ていたから同じ色の服を着るようにしたら覚えてもらえて……3回目くらいに手を振ったら会釈してくれたんですよね。『覚えてくれている!』って、それが凄く嬉しかったんです」(青木)
憧れの選手から認識してもらう。その喜びを原点に、青木は自分のファン一人ひとりのことをしっかりと認識するプロゴルファーに成長した。
「ロープの中から外を見て、『あの人今日も来てくれてる』とか『あの人いないな。トイレ行ったのかな』(笑)とか。サインをもらいに来てくれた人でも、『この人こないだも来てくれたな』とかも気づきますね!」(青木)
青木は、ジュニア時代にスタート直前の不動にサインをお願いしたという「今となってはあのときは失礼しましたと言いたい」という経験もある。不動は2000年から6年連続賞金女王というとんでもない偉業を達成しているが、その期間は現在26歳の青木の小学生時代とほぼ重なる。無敵の女王がスタート前の時間を割いてサインしてくれる。その思い出は幼い青木の胸に深く刻まれたようだ。
現在の青木はファンのことを「ただのファンの人じゃなくて、身内に接しているような感じで接しようと思っている」という。観戦に来てくれるファンへの気遣いが、また新たなファンを生むのだろう。
「ちゃんと目を見て、サインを返すときもちゃんと目をみようってやってますね。いくら疲れてても目ではしっかり『ありがとうございます!』っていうのが伝わるかなって思って」
今日、青木瀬令奈にサインをもらった少女が、何年後かにプロとなり、青木と同じようにファンサービスに務める。そんな未来は、きっと来る。
取材大会/資生堂アネッサレディスオープン 撮影/矢田部裕