「パターに型なし」と言われるように、パッティングはショットと比べるとスタイルのバリエーションが非常に広い。クラブの形状もさまざまだし、ストロークのスタイルもいろいろ。そしてグリップの握りも選手によって大きく異なるが、その背景と歴史を紐解いた。

「アームロックは、ひじから先の感覚を消して機械的にストロークしやすいという点で、長尺パターに近いイメージだと思います。左前腕とパターを一体化して動かすため、パッティングの感性を司るひじから先をまったく使わず、体幹の動きだけで振り子のようにストロークできます。ただし難点は、道具の問題でしょうか」(永井プロ)

アームロックでストロークするには、前腕に沿わせられる長いグリップが必要で、重量も一般的なパターよりもかなり重めのものがよい。また、アームロックで構えるとハンドファーストになりロフトが立つので、ロフトが多めであることも重要だ。その意味では、しっくりくるアームロック用パターに出合えるかどうかが重要と言えそうだ。

「クローグリップは、実は大きく分けて2タイプあります。ディマルコのスタイルを踏襲するタイプは、インパクト後に右肩を押し込むようにしてフォローを出していきます。こういったタイプは、フォローをナチュラルアッパーに出しやすくロフトをうまく保って打てるので、高速グリーンでもタッチを出しやすいと思います。ジャスティン・ローズなどはこのタイプですね。

一方、同じようなクローグリップでも、右肩のポジションを動かさずにストロークするタイプもいます。セルヒオ・ガルシアなどがこのタイプ。こちらはより長尺的というか、振り子的なストロークなのでタッチは出にくいでしょうが、より機械的にストロークしやすいと思います。慣性モーメントの大きい大型ヘッドパターとの相性もいいのが特徴ですね」(永井プロ)

画像: ブライソン・デシャンボーはアームロック(撮影/姉崎正)

ブライソン・デシャンボーはアームロック(撮影/姉崎正)

最近では、アームロックパターをさらにクローグリップで持つ選手もいるが、こういったタイプはより極端に手先を殺して振り子的にストロークしたいのだろうと永井プロ。

クローグリップは、普通のパターでも実践可能なので、手持ちのパターで「振り子感」を強めてストロークしたい場合は、ガルシア的な「振り子クロー」がいいかもしれない。

「クロスハンドグリップは、フェースの開閉を抑えてフェースをタテに使ってストロークしやすいのが特徴です。そのためフェースバランスのパターとの相性がよく、2メートル以内のショートパットは得意でしょうが、ロングパットのタッチは出しにくいかもしれません」(永井プロ)

どのグリップも、方向性やタッチを身につけるには一定の練習が必要だが、キーガン・ブラッドリーのように、アンカリングの禁止で調子を落としシード喪失までしてしまった選手が、アームロック&クローの採用で復活優勝を遂げた例もある。

パッティングの調子が悪いとか、イップスの気配がある人にとっては、試してみる価値がありそうだ。

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