ツアー通算6勝のうち4勝がメジャーというゴルフ史上でも屈指のメジャー男といえばブルックス・ケプカ。そんなケプカは、メジャーでもなく特段大きな試合でもない“平場の試合”でどのような様子なのか。ゴルフスウィングコンサルタント・吉田洋一郎がレポート。

会場入りは開幕前日。練習もちょっぴり

木曜日から始まるトーナメントウィーク、多くのプロは月曜日、あるいは火曜日にコース入りし、練習ラウンドや調整を行い、万全の準備を整えて本戦に挑みます。

なのですが、先週の3Mオープン、ブルックス・ケプカがコースに姿を現したのはなんと水曜日。それも、9ホールのプロアマトーナメントに参加したあとは食事してちょっとパットの練習をして、すぐにコースを去りました。ちなみに、マスターズの週は月曜日にコース入りしていました。

画像: メジャーで鬼気迫るプレーを見せるケプカと、平場の試合のケプカはまるで別人だ(写真は2019年の全米プロ 撮影/姉崎正)

メジャーで鬼気迫るプレーを見せるケプカと、平場の試合のケプカはまるで別人だ(写真は2019年の全米プロ 撮影/姉崎正)

その姿からは、「勝つぞ!」という気迫は正直、感じられません。まるで近所のジムに通うような感覚でPGAツアーに出場しているという雰囲気です。ケプカの直近5試合の成績を見ると、良い順に優勝、2位、50位タイ、57位タイ、65位。優勝と2位がメジャーで、それ以外の3試合が平場です。実にわかりやすい成績ですね……。

平場の試合はあくまで調整や、コンディションを保つための場。すべてはメジャータイトルを取るための大きな準備の一環なのでしょう。

さて、そんなケプカがトーナメントウィークに行っていた唯一の練習らしい練習が、パッティングのドリルでした。パッティングコーチのジェフ・ピアースは、かつてブッチ・ハーモンのアカデミーに所属し、そこから独立したというコーチ。彼と取り組んでいたのは、パット軌道の後方に2本のティで高さを出した携帯電話を置き、軌道前方には短くティを刺すという練習です。

画像: コーチのジェフ・ピアースに見守られながら練習するケプカ(撮影/吉田洋一郎)

コーチのジェフ・ピアースに見守られながら練習するケプカ(撮影/吉田洋一郎)

バックスウィングでヘッドを高く上げると、ヘッドが携帯にぶつかってしまいます。一方、フォローではアッパー軌道を作らないと、今度はティに当たってしまいます。アイアンでボールの先のターフを取るダウンブロー軌道、ちょうどあの軌道と逆のアッパー軌道を作るドリルです。

パワーに目を奪われるケプカですが、パッティングストロークも素晴らしく、縦にキレイに回転したボールがスーッと伸びていきます。球の回転が汚いと、ラインが読めていてもそこに上手く乗らなかったり、乗ったとしてもショートしたりします。球の回転は非常に重要な要素です。

画像: バックスウィング方向に携帯。フォローサイドにティ。アッパー軌道を作るためのドリルだ

バックスウィング方向に携帯。フォローサイドにティ。アッパー軌道を作るためのドリルだ

このキレイな転がりを作るためには、ダウンブローにクラブを入れるのではなく、緩やかなアッパー軌道でボールをとらえる必要があります。このドリルは、その軌道を作るためのドリルです。

明らかに本気を出していないケプカが取り組んでいたドリルは、きっとメジャーを見据えたものでしょう。パットの軌道というと、イントゥインがいい、いやストレートだと、「上から見た軌道」に気がいきがちですが、ダウンブローになっていないかどうかにも気を配ってみてはいかがでしょうか。

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