サマンサタバサ ガールズコレクション・レディースで待望の初優勝をつかんだ黄金世代・小祝さくら。ツアー屈指のショット力を持つ彼女のスウィングを、プロゴルファー・中村修が分析した。

型にとらわれないナチュラルスウィンガー

「トータルドライビング」という指標をご存知でしょうか。ドライバーの飛距離とフェアウェイキープ率の順位を足したもので、ティショットの総合力を測る指標です。

サマンサタバサの最終日、優勝を争いったイ・ミニョン選手はこの部門で1位。小祝さくら選手は2位と、ツアー屈指のショットメーカーのガチンコ勝負となりました。二人ともティショットでフェアウェイをとらえ、そこからピンにガンガン攻めていく。

結果、勝った小祝選手は17アンダー。ミニョン選手は16アンダーでしたが、3位の選手は10アンダーと、6打も引き離す超ハイレベルな戦いでした。

画像: プロ初優勝を挙げた小祝さくら(写真は2019年のリゾートトラストレディス 撮影/大澤進二)

プロ初優勝を挙げた小祝さくら(写真は2019年のリゾートトラストレディス 撮影/大澤進二)

小祝選手は上田桃子選手らと同じ辻村明志コーチに師事していますが、辻村コーチに師事する選手たちの練習打席はいつも熱気を帯びています。常に目的意識を持って練習していますし、その精度を高めることに余念がありません。

それでは、そんな努力の末に築き上げられた小祝選手のスウィングを見てみましょう。

画像: (写真A)スクエアグリップで少し短く握っている小祝。形にとらわれていないナチュラルなバックスウィングだ(写真は2019年のダイキンオーキッドレディス 撮影/姉崎正)

(写真A)スクエアグリップで少し短く握っている小祝。形にとらわれていないナチュラルなバックスウィングだ(写真は2019年のダイキンオーキッドレディス 撮影/姉崎正)

まずは写真Aをご覧ください。構えを見ると、ごくニュートラルなスクェアグリップで少し短く握っています。トップのフェースの向きを見てもフェースが空を向くシャットフェースではなく斜め45度から50度くらいのスクェアな状態をキープしていることがわかります。

バックスウィングでの下半身と上半身の回転量や腕の運動量、どれをとっても非常にバランスがよく、「ここに上げる」といったような型にとらわれていないナチュラルな動きをしています。

画像: (写真B)トップから左肩を離すように切り返すろ自然とインサイドからクラブが下りている(写真は2019年のダイキンオーキッドレディス 撮影/姉崎正)

(写真B)トップから左肩を離すように切り返すろ自然とインサイドからクラブが下りている(写真は2019年のダイキンオーキッドレディス 撮影/姉崎正)

続いて写真Bをご覧ください。今回注目したのは、トップからの切り返しでターゲット方向に突っ込まず顔の向きも変わらない点です。写真Aのトップの時点であごにくっついた左肩が、写真Bの切り返しでは離れています。

この動きは、スクェアグリップでフェースを開閉させながら打つタイプのスウィングには不可欠な動きです。体を回そうとしてあごと左肩がくっついたまま切り返してしまうと、どうしてもターゲット方向に突っ込みますし、アウトサイドインのカット軌道にもなってしまいます。

そうではなく、左脚でリードをしながら顔の向きを変えずにあごと左肩を離すように切り返すことで、自然とインサイドからクラブが下りてきますし、ビハインド・ザ・ボールの状態を保ったままフェースをターンさせ、スクェアなインパクトを迎えることができるようになります。

優勝した試合でバッグを担いだ木村翔プロキャディの話では、優勝争いのさなかでもいつも通り感情の起伏も少なく、集中してプレーできていたと言います。初優勝なのに最後のカップインのシーンでも淡々としていたところが印象的でしたが、それは小祝選手の強さの秘訣でもあると思います。

本格デビューとなった昨シーズンは38試合に出場し賞金ランク8位と大健闘。38試合に出場しケガをしない体力も素晴らしいですし、今シーズンは目標の初優勝を挙げたことで昨シーズン以上の活躍が期待できます。

群雄割拠の戦国時代さながらの女子ツアーは賞金女王の行方がまったく見えない展開。小祝選手の優勝で、その争いがますます面白くなってきたと言えそうです。

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