インパクトゾーンを長くするためにとんぼが挑んだ練習法
飛ばし屋の美女プロ小澤美奈瀬が「とんぼ」の技をやってみる企画。その第3弾は、縦に2個並べたボールを1スウィングで打つテクニック。これは単行本第2巻に登場する技だが、インパクトゾーンを長くするためにイガイガことプロゴルファーの五十嵐がとんぼに教えた練習方法だ。実はこのドリル、小澤もレッスンに取り入れているらしい。
「私は“にこたまドリル”って呼んでいるんですが、インパクトが点になりがちな人に、ゾーンでボールをとらえる感覚を身につけてもらうために活用しています。と言っても、私の場合は2個のボールの間隔が狭いですし、使うクラブもアイアン。とんぼちゃんみたいにボールをすごく離して置いて、しかもウェッジで……。ちゃんとできるかな?」(小澤)
この練習をしたとんぼは、最終的には2個のボールの間隔を30センチくらい開けて、しかも2つのボールの打ち出し方向のズレが5度未満程度のナイスショットに成功していた。それに倣って今回、ボールの間隔は約30センチ。小澤のマイAW(ロフト52度)で実験してみた。
まず1回目。普段の「にこたまドリル」のイメージでスウィングした小澤。手前のボールは右方向にプッシュアウト気味だがほぼナイスショットし、先のボールは左に出て左に曲がるチーピンのようなボールになった。
「うわー、さすがに30センチも離れるとボールが左右に散りますね! これは難しいですよ」(小澤)
2回目も、よりインパクトゾーンを長くするイメージでスウィングしたが、出たボールは1回目とほとんど同じ。しかし、ボールが散るとはいえ、かなりうまく当てている。小澤の感覚としては、手前のボールを基準にスウィングしつつ、先のボールにヘッドが届くような長いインパクトゾーンで振っていくイメージだという。
「2球とも当たるには当たるんですが、フェースの開閉の影響でかなりボールが左右に分かれて飛んでしまいます。とんぼちゃんくらい球をまとめるには、もっと長いインパクトゾーンで、しかもフェースの開閉を抑えてスクェア・トゥ・スクェアでスウィングしないとダメですね」(小澤)
その後、より長いゾーンを作るためにフットワークを強調し、下半身主導でスウィングしたが、ボール同士の衝突などもありうまく当たらない。
「いまボールが左右に大きく分かれるのは、インサイドから下りてくる途中で手前のボールに当たり、そこからフェースがターンして先のボールに当たっているから。ボールの打ち出し方向を揃えるために、2個ともヘッドがリリースし終わる前にとらえられるようなイメージでも試してみたんですが、なかなかうまくいきませんね」(小澤)
その後何回かトライした結果、若干の改善は見られたものの、2個のボールの打ち出し角のズレは15~20度ほどが限界だった。
「結局、2個とも当てることに精一杯で、とんぼちゃんのような浅く長いターフどころか、ターフが全然取れませんでした。もしかすると、もっと入射角をしっかりキープしてダウンブロー気味にとらえる必要があったのかもしれませんが、私にはちょっと無理でした〜」(小澤)
しかし、マンガの中でイガイガが「ありえない」と驚いていたように、あれほど長いインパクトゾーンは、とんぼのように左腕よりも右腕が長い体質でないと不可能なのかもしれない。
「実際にみなさんがやってみる場合は、これほどボールの間隔を開けず、10~15センチ程度でいいと思います。ポイントは、2つのインパクトを終えるまでクラブがリリースしきらないようにすること。リリース完了は、2個目のボールを打ち終わってからです。ただし、手元を左にスライドさせるようにしてインパクトゾーンを長くしようとしても、フェースが開いて先のボールまでスライスしますので、手元の運動量は小さいまま体主体でスウィングし、ヘッドを長く動かしていくイメージを持つといいと思います」(小澤)
協力:千葉よみうりカントリークラブ