大本研太郎に師事してスウィングを作り上げた
センチュリー21レディスゴルフトーナメントの最終日、一時はトップに立ったものの18番ホールでの痛恨のボギーで4位に終わった、黄金世代の一人、臼井麗香。今季は、QTランキング65位とレギュラーツアーでの出場権が限られていた中、予選会を突破して出場機会を増やし、リランキング上位を勝ち取った選手だ。予選会をビッグスコアで通過するため、巷では“チューズデイクイーン”と渾名されるほどの強さを誇った。（※注 予選会が火曜日に行われるため）
98年生まれの黄金世代・臼井麗香。リランキング42位で、後半戦への出場権を得た（写真は2019年のリゾートトラストレディス 撮影/大澤進二）
彼女をプロテスト前からコーチしているのが、2018のPGA（日本プロゴルフ協会）ティーチングプロアワードで最優秀賞を受賞した大本研太郎プロだ。私事で非常に恐縮なのだが、筆者もちょうど4年前から大本プロのレッスンを受けている。万年残念ゴルファーだった筆者を、なんと片手シングルにまで引き上げてくれた。大げさではなく、恩人と呼べる人だ。
大本プロいわく、「彼女（臼井）は、コヤマさん並みにスウィングが変わりましたよ」という。なんでも、臼井自身が自分に必要なものはなにかを考えた末、自ら大本プロをコーチに選んだらしい。それ以降、昨年のプロテストでは、3日目に自身のベストスコア（当時）となる「64」をマークして合格。ルーキーイヤーの今年は、ベスト10フィニッシュが2回と健闘中だ。
臼井のスウィングの特徴は、トップでクラブが上を向くほどコンパクトであること。上半身と下半身の捻転差を作り、クラブの遠心力に対して、カウンターを入れることで、コンパクトながら大きなエネルギーを生んでいる。（※筆者注 この箇所、分かりにくいと思いますが、スウィングの詳細を紹介するのが意図ではないので、そんなものかと軽く読み流してください）
フェース面が真上を向くコンパクトなトップが特徴（写真は2019年のリゾートトラストレディス 撮影/小林司）
このクラブから生まれるスウィング中の大きな遠心力に対して、カウンターを入れるのが大本理論の核心のひとつだ。プロの中では細身で、身長もそれほど高くない臼井が、飛ばし屋選手に負けない飛距離を出せる秘密がここにある。平均飛距離は7月28日現在で239.73ヤードで、規定ラウンド未満だが全体の28位に相当する。
また、臼井の大きな武器であるミドルアイアンのキレも見逃せない。5番、6番を持って高弾道でピンを狙っていくには、正確性とパワーが必要だ。この距離をユーティリティで打つ選手も少なくないが、臼井は女子選手らしからぬソリッドなインパクトで、アイアンショットを武器にバーディ量産につなげている。これもコンパクトで正確性とパワーを両立するスウィングがあればこそ可能になる。
先日、練習を取材して驚いたが、大本プロは、以前筆者がレッスンされた内容と同じことをプロにもコーチしていたのだ。当然のことながら、そのレベルには雲泥の差があるのだが、基本的なスウィング理論が、プロとアマで一貫していることに、門下生として大きな喜びを感じた。
好成績は選手の努力の賜物だが、その努力の質を適正なものにするには、コーチの技量が欠かせない。アマチュアならなおさらで、筆者自身も練習場でおびただしい数のボールを打ち、レッスン書を読み漁ったものだが、努力の甲斐もなく、長年停滞を余儀なくされた。
勘が良くて、自己流で上達するゴルファーも一定数存在する。しかし、多くの一般ゴルファーにとって、上達に必要なのは、適切に導いてくれるコーチの存在ではないだろうか。自ら大本プロの門を叩いた臼井のように、良いコーチを見つける努力をすることが、自己流練習やクラブ選び以上に必要ではないかと思う。
派手めのルックスに注目が集まりがちな臼井だが、ショットの正確性が高く、バーディ数が多いのが、プロとして一番の魅力だ。試合観戦にいく機会があれば、アイアンショットの澄んだ音に注目してみて欲しい。
ジョニ男のヘッドスピードは上がるのか！？～小澤美奈瀬プロ～
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