トップ位置はあくまでも「バックスウィングの結果」
ボールを遠くへ飛ばすには、深くて大きいトップを作ることが大事。ドライバーの場合、クラブが地面と平行になるぐらいが、トップの大きさの基準になっていて、それ以上になるのは“オーバースウィング”といわれる。
ただ、ジョン・デイリーやフィル・ミケルソン、横峯さくらなどは、“地面と平行”よりも深いトップだし、ドラコン選手はほとんどがオーバースウィングだ。逆に、クラブを地面と平行まで上げないコンパクトなトップで飛ばしているプロもいる。いったい、理想的なトップの大きさとはどのぐらいなのだろう。
原田プロに聞いてみると、「自分もややオーバースウィング気味のトップですよ。デイリーや他のドラコン選手ほどではないですけどね。インパクトまでの助走距離が長くなるので飛距離を出すには有利ですが、その助走距離を上手く利用するには、ある程度の技術と体力が必要ですよね」(原田、以下同)。
そもそも、トップのポジションというのは、意識して作るものではなく、あくまでもバックスウィングの結果として自然に決まるものだと、原田プロはいう。
「その人の体力や体の柔軟性でトップのポジションは変わりますが、効率よく飛ばすということを考えると、まずテークバックで常にヘッド側に向かって遠心力がかかっていることが大事。そう考えると、テークバックの初期段階で手首のコックを作ってから上げるのは、どちらかというと飛ばしよりも正確性重視といえるかもしれません。ドラコン選手をはじめ、飛距離が出るプロなどを見ると、テークバックではヘッドをなるべく体から遠くに離していくように、ワイドにバックスウィングを上げる人が多い。実際、ボクのレッスンでも生徒さんにはそう教えています」
たとえば、水の少し入ったペットボトルをイメージ。先端のヘッドに向かって、遠心力で水が一気に流れ込むようなテークバックが理想だという。
「テークバックでクラブが地面と平行まで上がったところが、トップのポジションだというのが、ボクの考え方です。そこから先はテークバックの勢いで勝手に上がるだけで、クラブが上がりきる前に下半身はダウンスウィングに向かって動き出します。なので、クラブが地面と平行まで上がった位置がトップで、そこから先はもうダウンスウィングの動きのカテゴリーになるんですよ」
スウィング中は先端のヘッドに向かって遠心力が働いている状態を保つことが重要。クラブを上げる動きと下ろす動きを分けて考えると、トップでそれが途切れてしまうという。
「ボクがレッスンで生徒さんにやってもらうドリルがあって、クラブを地面と平行の位置まで上げて静止した状態から、ボールを打ってもらうんです。すると、みんな無意識に反動を使って打とうとするので、クラブが勝手にトップまで上がっていくんです。ほとんどの人はその意識がないので、動画で撮影して見せるとビックリします。このときのポジションが、その人にとって理想的であり、自然なトップの位置、大きさなんです」
このドリルは“上げる”と“下ろす”を分割せずに、下半身リードによる一連の動きでスウィングする練習としても効果的だ。また、先端のヘッドに向かって、常に遠心力を働かせてスウィングする感覚をつかむには、リボンを使ったドリルがおすすめだと原田。
「クラブのヘッド側にリボンを結んで、素振りをするといいでしょう。トップでいったん静止してしまうと、リボンは張りを失って垂れ下がってしまいますよね。常にヘッドに遠心力が働いていれば、リボンがずっとゆるまずに真っすぐピンと張った状態になります。このドリルを行うことで、自分にとって理想的なトップのポジションが見つかるし、効率よく飛ばせるスウィングも身に付きます」
協力/富里インターゴルフ練習場