ウルフ、モリカワはすでに勝利。ホブランは最終戦で惜しくも4位
ジョーダン・スピース、ジャスティン・トーマスらの次の世代となる若手たちが、今、ちょっとしたブームを巻き起こしている。
レギュラーツアー最終戦のウィンダム選手権には、3M選手権で優勝したマシュー・ウルフ(20歳)、3M選手権ではウルフと優勝争いを演じ、先週のバラクーダ選手権でツアー初優勝したばかりのコリン・モリカワ(22歳)、そしてノルウェイ出身で今年のマスターズ、全米オープンと2試合でローアマを獲得したビクトル・ホブラン(21歳)だ。
彼らは今年の5月までアマチュアの試合に出ていたが、6月にプロ転向したばかりで、スポンサー推薦で出場したわずか10試合弱でウルフとモリカワはツアー初優勝を挙げるという快挙を達成し、ホブランも優勝こそなかったものの、直近3試合で全てトップ20入りを果たしている。
ウィンダム選手権で優勝か2位以内に入れば、ホブランも来季のPGAツアーのシード権を獲得できたが、4位で終わったため、コーン・フェリーツアー(下部ツアー)の最終戦に出場し、トップ25に入ることでシード権を獲得する道を取る。
「何も失うものはないと思って最終日はプレーしていました。本当にいいプレーができなければ(優勝できなければ)、コーンフェリーツアー(最終戦)に行くことになりますが、大学を卒業して、この位置でプレーできているのはすごくいいこと。うまくこのチャンスを生かしたいですね」
初めてホブランに話しかけてみたが、アマチュア界でトップに立っていたからか、すでに大物の風格。つい2カ月前までアマチュアだったとは思えない物腰と物言いである。間違いなく彼は、ライダーカップにも出場するようなヨーロッパを代表する選手になるだろう。今年のマスターズと全米オープンの両試合でローアマを獲り、同年で両大会のローアマ獲得という21年ぶりの大記録を打ち立てたのを見てもただ者ではない。
「マット(ウルフ)やコリン(モリカワ)とはこの2〜3年、何度も一緒にプレーしていますが、彼らの調子がいいのを見るのはいいものですね。彼らが成し遂げたことは、僕にもできると思えますから。でも、待っていても達成できるわけではないので、とにかく試合に出て、自ら獲得しに行きたいです」
「ヒデキは尊敬している。ZOZOにも出てみたいですね」(モリカワ)
今回、モリカワとウルフは予選ラウンドを同組で回り、ノースカロライナのゴルフファンたちを多く引き連れてプレーしていた。わずかプロ入り後2カ月弱にして、この人気ぶりである。日本の「黄金世代」だけでなく、米男子ツアーもまた20歳前後の若手選手の活躍が目立つ昨今。最近、ジョーダン・スピース、ジャスティン・トーマスら25歳以上の若手たちの元気がないだけに、次世代の彼らの活躍が眩しく光っている。
「マシュー(ウルフ)が優勝した時に、僕も優勝できると感じました。大きな自信が生まれたんです。勝つ準備はできているし、正しい道を歩んでいる」とモリカワ。彼に日本から取材に来ていると伝えると、笑顔で「ヒデキとはいつか一緒に回ってみたいし、尊敬している。日本には家族がいないので、観光で東京と京都に行ったことくらいしかないが、ZOZO選手権にも出てみたいですね」と気さくに答えてくれた。
プロ入り前にすでに百戦錬磨の彼らには失うものもないし、恐れるものもない。すでに経験も豊富だ。メディアへの対応も慣れており、自分の気持ちや考えを動じることなく的確に表現することもできる。ジャスティン・トーマスやリッキー・ファウラー、ゲーリー・ウッドランド、ジョン・ラームらプロゴルファーとの交流もあり、彼らに対して過剰なまでの畏怖の念もない。プロ転向したばかりだが、すでに成熟したハイパー20代という印象の若手エリート集団。今後のゴルフ界、メジャーなどの大舞台で、彼らが優勝争いをする日もそう遠くはなさそうだ。
※2019年8月9日0時7分、内容を修正しました