W宮里、畑岡奈紗……メジャーに肉薄した選手たちも祝福
渋野日向子の全英女子オープン優勝という偉業に、ゴルフ界は賞賛の声が鳴り止まない。筆者はCSでTV観戦していたが、優勝が決まった瞬間に解説の岡本綾子プロ(以下、敬称略)が、悲鳴にも似た声をあげたのが印象的だった。
普段は冷静沈着、そして愛情深くも辛口の解説で知られる岡本が、我を忘れて声をあげるほど、この勝利は重いものだった。それもそのはず、日本の女子選手が海外のメジャー大会で優勝したのは42年ぶり。その長きに渡って、日本の女子選手たちは、メジャーの高い壁に挑戦しては跳ね返され続けた、まさに苦闘の歴史だった。
1987年にアメリカLPGAツアーで賞金女王となった岡本綾子は、2位が6回と何度もメジャー制覇に手が届きそうになったが、ほんの紙一重で優勝を手にすることはなかった。以来、小林浩美、平瀬真由美、福嶋晃子など国内で圧倒的に強かった選手たちがアメリカLPGAに挑戦したが、メジャーへの夢が果たされることはなかった。記憶に新しいところでは、畑岡奈紗が昨年、全米女子プロでプレーオフの末、2位になっている。
それだけに、今回の偉業の意味をとりわけ理解できるのが、同業者である女子プロたちではないだろうか。渋野のインスタグラムには、優勝後の数日で、1万件をこえるコメントが入っているが、そのうちの少なくないコメントが女子プロたちからのものだった。主だったものを紹介しよう。絵文字は省略した。
畑岡奈紗 「ひなこちゃん本当におめでとう かっこよかったよー」
成田美寿々 「感動!おめでとう!」
藤田光里 「最高だったよ」
三ヶ島かな 「しぶこおめでとーーー!」
辻梨恵 「しぶのっち❤ 凄すぎ❤ おめでとう❤」
永井花奈 「カッコよかったよ おめでとう」
キム・ハヌル 「おめでとう!!」
吉田優利(アマ)「痺れました! 本当におめでとうございました!」
そして、金田久美子、青木瀬令奈、松田鈴英など、普段からインスタグラムの扱いに慣れている選手は、ストーリーズ機能でお祝いメッセージを発信している。ストーリーズとは24時間で消え、比較的手軽に投稿できるのが特徴の機能だ。
中でも、濃厚なストーリーズ投稿があったのが、宮里藍、宮里美香の両選手だ。宮里藍は前日から応援メッセージを発信。優勝した瞬間は、自らが観戦中の動画を上げて、ウィニングパットが放たれたと同時に「入れー!!」と声を上げたシーンがアップされた。
宮里美香は以下のような長めのメッセージを投稿した。
「本当に凄い!
メジャーで優勝争いした経験あるけど、
笑顔でその雰囲気を楽しんでいる
ひなこちゃん、とっても素晴らしかった!!
ひなこちゃん、本当におめでとう!!
興奮して寝れるかな。笑」
アメリカツアーを戦い、何度もメジャーの優勝争いを経験した両宮里だけに、その思いもとりわけ強いものがあったのではないだろうか。宮里藍は、3位が3回にベスト10は10回。宮里美香は2012年の全米女子プロで2位、ベスト10は6回と、二人ともメジャー制覇に肉薄しているのだ。
インスタグラムといえば、優勝した渋野当人は、なんと試合の2日目、3日目のあとにも投稿を行っていた。強心臓というか、これまでにないタイプの選手だけに、かえって優勝への期待は高まったものだった。
渋野は、1万件を超えるコメントのかなりの数に返信を返している。それは、試合中にギャラリーとハイタッチし、子供とコミュニケーションをとっていたそのままの姿だ。おびただしい数のコメントを見ながら、新たな時代のヒロインが誕生したことを強く感じた。
※注 岡本綾子はメジャー昇格前の84年に全英女子オープンで勝利。小林浩美、宮里藍もメジャー昇格前のエビアン選手権で優勝している。