「球を打って歩くだけで精一杯」
「正直疲れはあります。でも、やるからには予選突破はしたい。コースは回ったことがないけど、キャディさんが心強いので、コースのことは任せています」と話した。
その“キャディさん”というのが、資生堂アネッサレディスでタッグを組み、優勝を飾った門田実キャディだ。木曜日のプロアマ後に話を聞いた。
水曜日、渋野が会場に入る前、帰国後初めて会ったという門田キャディは、「いつもと変わらない笑顔でした。当然疲れているはずなのに、えらいですよね」と話す。
渋野はプロアマで“初めて”コースを回った。トレードマークの笑顔は健在で、こちらからはまるで疲れを感じさせない、本当に疲れているのかな? と思うくらいいつもと変わらない様子でプレーをしていた。しかし、門田キャディの見方は少し違う。
「体は満身創痍の状態です。球を打って歩くだけで精一杯なんじゃないかな。予選通過したら優勝したようなもん。それくらい体力的にも精神的にも疲れているように見えますね」
連日のテレビ出演や取材などで、寝る時間はほとんどない。しかし、渋野目当てに多くのギャラリーが駆けつけることが予想され、疲れた様子を見せるわけにはいかない。
門田キャディは、「多くの方に見てもらうのは、プロとしてとてもありがたいこと」と、前置きをしつつ、
「私が予想していたよりも多くのメディアの方がきています。当然、試合になれば彼女を見たくて会場に足を運んでくれる方もいるでしょう。そのなかには、ゴルフを知らない人もいるかと思います。彼女は素直でいい子だから、すべてに応えようとしてしまう。今のこのフィーバー状態でそれをしたら……大変なことになります。誰かが“ストッパー”になることもときには必要なこと。今週は私が“悪者”になればいいんです(笑)」
全英女子オープンのチャンピオンとして臨む今大会だが、門田キャディは「まったく気にする必要はない」と言う。
「メジャーで勝ったからといって何かを変える必要はない。彼女は彼女のまま、いつもどおりプレーすればいい。そうやって結果を出してきた選手ですからね。結果はどうなるかわかりませんが、彼女との時間を楽しみたいですね」
取材・文/五十嵐誠 撮影/岡沢裕行