ママでも安心して戦えるように。佐藤靖子の所属先企業が設置した
夫婦共働きで、日中は子どもを保育園に預ける家庭は多い。妻の職業がプロゴルファーであっても、事情は同じ。子どもの預け先を確保できなければ、安心して試合に臨むことはできない。
プロゴルファーの甲田良美もその一人。普段は一人息子を保育園に預け、仕事に出かけるが、試合となるとこれがかなりの負担になる。子どもを預け、試合に臨み、急いで保育園に子どもをお迎えに行く……これは相当ハードだ。
これは甲田だけの問題ではなく、ツアーを戦うママプロが共通して抱える悩み。この悩みに応えるカタチで、なんと初めて女子ステップアップツアーの会場にコースのコンペルームを利用した臨時の“託児所”がオープンした。甲田は言う。
「『おもちゃ王国』にスポンサーをしていただき、働くママを応援するということで設置していただきました。子供は佐藤靖子プロ、佐々木慶子プロと私の息子の3人が預けられていました。保育士さんも二人ついてくれて、とても安心して預けることができました。自分の子供は明日もまた行きたいというくらい楽しかったようです(笑)」(甲田)
おもちゃ王国は体験型のおもちゃのテーマパークを展開する企業で、佐藤靖子の所属先でもある。子ども相手の企業が、子を持つ母親を応援するという試みだ。
女性が出産を期にそれまで築いたキャリアを手放さなくてならないというケースは多くあり、女子プロゴルファーにもそのようなケースが当てはまることも当然あるに違いない。しかし、もしツアー会場に託児所があれば、子どもを預けて安心して試合に臨むことができるようになる。
結婚・出産を経ても戦える。そう思えれば、若い世代もより安心してツアーで戦えるはずだ。
「今年からステップアップツアーはほとんど3日間の試合になったので、託児所があるのは本当に助かります」と甲田。ステップアップツアーは全英女子オープンで勝った渋野日向子が昨年まで主戦場にしたツアーで、若手の有望株がしのぎを削っているが、その争いに甲田のようなベテランプロが加われば、選手層はより多様になり、試合展開も面白くなる。
実際、子どもを預けて試合に臨んだ佐々木慶子は3位タイに入り、賞金102万円を稼いで見せた。働くママの見事な仕事っぷりだ。
託児所設置はこの試合だけの試験的なものだというが、それでもツアー会場に託児所を作るという時代に則したスポンサーシップには心からの拍手を送りたい。