ゴルフではいわゆるフルスウィングのことを“マン振り”と俗に言う。リミッターを外して振るといったニュアンスがあり、「マン振りではなく、7〜8割の力で振るのがいい」なんてよく言われる……実際のところどうなのか? 今回は「ほぼしない」「全くしない」と答えた選手の意見を紹介しよう。

「むかついたときとかします(笑)」

センチュリー21レディスの練習日に12人の女子プロに、マン振りを「毎回する」「たまにする」「ほぼしない」「全くしない」の4択から選んでもらったところ、「毎回する」はゼロ。「たまにする」が4名で、「ほぼしない」5名、「全くしない」3名という結果になった。

画像: 「毎回する」はゼロ。「たまにする」が4名で、「ほぼしない」5名、「全くしない」3名という結果になった

「毎回する」はゼロ。「たまにする」が4名で、「ほぼしない」5名、「全くしない」3名という結果になった

前編では「たまにする」と答えた4名の選手(河本結、松田鈴英、葭葉ルミ、幡野夏生)の意見について紹介したが、今回は「ほぼしない」「全くしない」と答えた8選手の意見を紹介しよう。

「マン振りですか? ほとんどしないけど、したことはあります。2オン狙うときとか、あとは少し振れなくなっているときに立て直すために振るっていうのはありましたね。でもほぼしないかな~」(木戸愛)

画像: 木戸は“ほぼしない”と回答。2オンを狙うときと立て直すためにマン振りすることもときにあるとか

木戸は“ほぼしない”と回答。2オンを狙うときと立て直すためにマン振りすることもときにあるとか

木戸のように「ほぼしない」と回答したのは12名中5名と、もっとも回答数が多かった。“振れていない”状態を立て直すために、いわばカンフル剤的にマン振りをするという意見は木戸だけが答えてくれた意見だが、木戸と同様2オンを狙う(狙いたい)ときにまれにマン振りすると答えたのは新垣比菜、山路晶、斉藤愛璃の3人。

「ほぼしないかもしれないですね。セカンド(で2オンが)狙えるパー5とかでたまにしたことあるかな~ぐらいですね」(新垣)

「ほぼしない。2オンいけるなってときはティショットで振るかな……当たれば飛距離も変わると思うけど実質どうなんだろうと思う」(斉藤)

画像: 「朝とかって緊張するので、そういうときは素振りでしっかり振ります。マン振りすることがあるとすればロングホールですね」(斉藤)

「朝とかって緊張するので、そういうときは素振りでしっかり振ります。マン振りすることがあるとすればロングホールですね」(斉藤)

松田、河本といった飛ばし屋たちが、持ち味の飛距離を生かしてマン振りすることで積極的に2オンを狙っていくのに対し、マン振り消極派の女子プロたちは、総じて天候や風向きなどの条件が揃ったときにはじめてマン振りが選択肢に入ると回答してくれた。やはり、「パー5で2オンできるか、否か」がマン振りする/しないの有力な判断材料となるようだ。

画像: 基本的に7~8割程度で振るという田中瑞希。ただ、スコアを落としたときにマン振りをして気持ちをリセットさせることもあるのだとか

基本的に7~8割程度で振るという田中瑞希。ただ、スコアを落としたときにマン振りをして気持ちをリセットさせることもあるのだとか

一方、普段はマン振りはしないが、まったく異なる理由からたまにすることがあるというのは田中瑞希。

「むかついたときとかします(笑)。えいや! って感じで」と、ミスしたりスコアを落としてしまったあとなどにマン振りをして、気持ちをリセットするようだ。「触れてないときにすることがある」と答えた木戸とちょっと似ているかもしれない。

さて、マン振りを「全くしない」と回答した選手も3人いた。吉本ひかる、永峰咲希、安田彩乃だ。

「ミート率が悪くなるのでしないですね」(吉本)

画像: 「しない」と即答した吉本ひかる。その分だけミート率が下がるというのがその理由

「しない」と即答した吉本ひかる。その分だけミート率が下がるというのがその理由

「しないです。マン振りしたところで飛距離が変わらないのでしません」(永峰)

「全くしないですね。(マン振りすると)次のショットに影響しちゃうので、リズムを崩さないようにしていますね」(安田)

中でも安田の意見は興味深い。マン振りすると、次のショットに悪影響があるというのだ。プロとアマではレベルが違うが、たしかに我々アマチュアのゴルフでも、全力でドライバーを振りちぎった次のショットは、前のショットの結果の良し悪しに関わらず、ミスになることが多い気がする。安田によればそれはマン振りがスウィングのリズムを崩すからということになる。

画像: リズムを大切にしている安田は「試合はもちろんですが、練習中もマン振りはしないです」という

リズムを大切にしている安田は「試合はもちろんですが、練習中もマン振りはしないです」という

「アゲンストのときとか、いつもより飛ばない状況のときは振るんじゃなくて、ティを低くしたりとかで(対応して)スウィングリズムは変えません」という安田の意見は、アマチュアがスコアを守る上で参考になりそうだ。

「毎回マン振り! それが自分のゴルフ」というゴルファーは、くれぐれもリズムが崩れないようにご注意を……。

取材大会/センチュリー21レディスゴルフトーナメント 撮影/矢田部裕

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