「イライラするより笑ったほうがいい」と父に言われていた
2017年日本ジュニアで優勝、2018年にプロテスト合格、その年のQT(予選会)ランク13位の資格でルーキーイヤーを戦っている菅沼菜々選手。本格参戦するデビューイヤーの菅沼奈々。これまで約1500万円を稼ぎ出し、順調な戦いぶりを見せています。
ここ数試合は結果が出ていませんが、本人に話を聞くと「NEC軽井沢72」に向けて、モチベーションは高まっているようです。
「一つ年上の黄金世代の先輩たちが活躍しているのは『すごいな』と思っていましたが、同じ年の稲見萌寧ちゃんが勝ったのを見たときは悔しい気持ちでした。自分も優勝したいと思ってやっています」
「コースの雰囲気も好きだし、洋芝も苦にならない」と、いいイメージで初日を迎えられそうな今週の目標を聞いてみると、今や女子ゴルフ界の中心的存在になっているあの選手の名前が出てきました。
「(渋野)日向子ちゃんが笑ってゴルフをしていたら(結果が)よくなったと聞いて、私も父からずっと『イライラするより笑ったほうがいい』と言われていたんですが、それが上手くできなかったんです。日向子ちゃんの優勝を見て、今週は笑顔でプレーするようにして、上位争いしたいです」
骨盤の回転で切り返し、地面反力でヘッドを加速させる
そんな菅沼選手ですが、ルーキーイヤーから活躍するだけあって、スウィングの完成度は高いです。詳しく見てみましょう。
スクェアなグリップでオーソドックスな構えから、トップではフェースが空を向くシャットフェース。その場で骨盤を回転させ、左右への移動は少ないタイプです。トップでは、ダウンスウィングで回転力と地面反力を使うためにやや沈み込みエネルギーが蓄積されています(画像A)。
ダウンスウィングでは下半身でリードしながら頭がターゲット方向に突っ込まないように軸を後方に残し、ゆるやかなアッパー軌道でボールを打ち抜いています。ダウンスウィング初期の骨盤の回転力でクラブを下ろし、地面反力を使ってクラブを加速させています(画像B)。
リカバリー率は83位、パーセーブ率は60位とまだまだ粗削りなところはありますが、243.64ヤード(20位)を飛ばすドライバーショットとパーオンホールの平均パット14位と、あどけなさの残る表情とは裏腹の高い攻撃力を持っています。
イライラせずに、笑顔でプレーすることでそのポテンシャルを発揮できれば、優勝争いに加わることも十分可能な逸材です。黄金世代の一つ年下、プラチナ世代のひとつ年上の菅沼選手、稲見選手の世代は、ときに「谷間の世代」などと呼ばれることもありますが、彼女たちにとってそれは当然不本意なこと。稲見選手ら同世代と切磋琢磨し、黄金にもプラチナにも負けない輝きを放つポテンシャルがある選手だと思います。