最近勝ってない男たちがこぞって復調気配
大詰めを迎えたシーズンで“歌を思い出しそう”なのがジャスティン・トーマスだ。フェデックスカップのポイントランク70位までしか出場が許されないBMW選手権初日、トーマスは7バーディ、ノーボギーの完璧な内容でコースレコードタイの7アンダー65をマーク。首位タイの好発進を切った。
さぞや絶好調かと思いきや「ラウンド前の練習場はひどかった。自分がなにをやってるのかわからないくらいボロボロだった」とこぼしたトーマス。
ところがいざスタートするやショットはさほどではなかったものの、18ホール24パットとグリーン上のプレーが冴え渡った。単純計算で2パットは3ホールに1度だけ。それ以外は1パットに収めたのだからさすが。
調子が悪いのにビッグスコアをマークしたこの日のラウンドは、どこかちぐはぐだった今シーズンの彼を象徴するかのよう。
2年前にフェデックスカップ王者となり年間最優秀選手賞に輝いたトーマスだが、今季は右手首のケガに悩まされマスターズで12位タイに入ったあとおよそ2カ月間戦線離脱を余儀なくされた。全米プロも欠場し、シーズン序盤こそトップ10入り4回を数えたが復帰してからは全英オープンの11位タイが最高でベスト10はない。
「今年は不思議でおかしなシーズンだった」と本人もいうが、調子が良くても勝てないことがあるのと同様に調子が悪くても勝ててしまうこともある。
初日トップに立ったからといって今季初Vは近い、と断言するのはあまりにも穿った見方がだ、少なくてもトーマスの名前が以前のようにリーダーボードの上段にあるのは我々もうれしい。
同じ年のライバル、ジョーダン・スピースもどん底から這い上がり前週のノーザン・トラストで6位タイに入るなど調子は上向き。しかし初日36位タイとスコアの伸ばし合いのなかやや出遅れている。今大会に直前のポイントランクは44位とトップ30のみが出場を許される最終戦ザ・ツアー選手権出場のためには2日目以降の巻き返しが必要だ。
初日25位タイの松山英樹も然り。フル参戦した14年以来5年連続でザ・ツアー選手権にコマを進めている彼の大会前の順位は33位。BMW選手権で上位に入らないと最終戦出場のチャンスは閉ざされる。
だが松山は下を見るより上を見るべき。「ここ最近ではいいショットが打てている。ピン方向に打てているのであるは距離感だけ」と手応えを口にした日本のエース。トーナメントをリードするトーマスとは4打しか離れていない。2年ぶりに“歌を思い出す=優勝”する可能性は決して低くないはずだ。