PGAツアーのプレーオフ初戦「ザ・ノーザントラスト」でのグリーン上でのスロープレーがSNSで大きな話題となったブライソン・デシャンボー。ついに、“ファストプレー”代表のブルックス・ケプカと直接対決!?

「言いたいことがあれば言ってくれ」という提案にケプカが乗った

ノーザントラストの2日目、ブライソン・デシャンボーは約2分20秒もグリーン上のライン読みに時間をかけ、スロープレーでSNS上で多くの非難を浴びた。リー・ウエストウッド、イアン・ポールター、ルーク・ドナルド、エディ・ペパレル、ロス・フィッシャー、ポール・ローリーなど、多くはヨーロッパ系の選手で、中にはクリスティーナ・キムのようにLPGAツアープレーヤーも混じっていたが、同組で回っていたジャスティン・トーマス、トミー・フリートウッドらに対して同情的な内容が多かった。それに対し、デシャンボーは3日目のプレー後に記者会見場で、次のように抗議している。

「スロープレーヤーは自分だけではない。他にも3人いるよね? たとえばジェイソン・デイとスティーブ・ウィリアムズ(キャディ)。彼らも遅い。僕は規定で許されている40秒を使ってプレーをしているが、早く歩いている。(ショットに費やす時間と歩いている時間の)トータル時間で判断してほしい」

「たしかに昨日の8番ホールで2分20秒かかったことは認める。だがこんなのはプレーの1%か5%に過ぎない。僕はショット間の歩いている時間を短縮しようと早く歩いている」

「言いたいことがあるなら、直接言って欲しい。ヨーロッパの選手たちはどうせソファに座って、そんなツイートをしてるんだろう。別に彼らに対して何か悪く言うつもりはないが、個人的にツイッターで攻撃してくるんだったら、直接言ってこいと言いたい」

画像: ツアープレーヤーからの”集中砲火”に反論したデシャンボー(写真は2019年全英オープン 撮影/姉﨑正)

ツアープレーヤーからの”集中砲火”に反論したデシャンボー(写真は2019年全英オープン 撮影/姉﨑正)

ツアーにはスロープレーヤーと言われている選手が何人かいる。その代表格がJ・B・ホームズ、ケビン・ナ、ジェイソン・デイだ。かつては松山英樹が遅いといわれていた時期もあったが、最近はそのような話は聞かない。

全英オープンの最終日、早打ちのブルックス・ケプカはスロープレーでおなじみのJ・B・ホームズとラウンドしたが、ただでさえ遅いのに、その上87の大叩き。普段以上に時間がかかってしまった。ケプカはこのところメジャーで優勝と2位しかなかったが、全英では4位。本人はホームズのプレーリズムと自分の成績に対し「別に関係ない」と言っているが、実際はやはり待たされてイライラし、リズムを崩されることもあったのではないか、と思う。

そんなケプカは正々堂々と直接本人に対して、最終日のプレー前にパッティンググリーンで対話を試みた。ケプカのキャディにデシャンボーが「何か言いたいことがあるなら、直接言ってくれと伝えて欲しい」と言ったからである。

また、翌週の火曜日の夜に収録されたラジオ番組にケプカとデシャンボーが共演。一触即発のやりとりが期待された(!?)が、司会者が「2人がケンカしていたように言われていたけど…..」と切り出すと、デシャンボーは「このケンカで勝ったのは、僕ではないよ。ブルックスには参ったよ」と和やかにスタート。ケプカはその番組中で、スロープレー問題が解決できない理由を次のように挙げた。

「スロープレーヤーは、自分自身がスロープレーをしていると認識していない。自分自身のプレーをビデオで見て、いかに遅いかを認識しなければダメだ」

画像: 「ビデオで自分がいかに遅いか確認してみては?」。スロープレー常習犯のデシャンボーに直接、改善策を提案したケプカ(写真は2019年の全米プロ 撮影/姉﨑正)

「ビデオで自分がいかに遅いか確認してみては?」。スロープレー常習犯のデシャンボーに直接、改善策を提案したケプカ(写真は2019年の全米プロ 撮影/姉﨑正)

たしかにスロープレーヤーは、自分が遅い、ということを認識していない場合が多い。その上むしろ、自分のことはさておき、他人を遅いと非難している人もかなりいる。これは海外ツアーだけに限ったことではない。

他人がショットしている間にクラブ選択をし、ショットが終わったらすぐにアドレスに入ってショットする、というスロープレーヤーは皆無。たいていは他人のショットが終わったあともキャディと距離や狙いどころの相談をし、中にはそこではじめてグローブをはめて準備する者もいる。これではプレーが遅いと言われても仕方がないだろう。

いくら早く歩いているとか、スコアがパーやバーディで上がっているからいいだろう、などと言われても、ショットするまでに時間がかかっていれば言い訳にしか聞こえない。逆に、ゴルフが上手くなくても、ショットが曲がって、そのぶん打ち直しや脱出に時間がかかっても、クラブを数本持って、ショットにすぐ入ろうとする人、他人を待たせてはいけないという意識のある人は、スロープレーヤーとは思われないものである。

今後は、距離の計測を行うショットリンクを使って、ショット時間も測ったら? などの意見も飛び出したが、スロープレーに対するペナルティも具体的にしたほうがいい。個人の性格にも関わることなので、その分ナイーブな問題でもあるが、この問題によって同伴競技者たちが不快な想いをすることも多いだけに、できるだけ早く、わかりやすい方法で具体的な方法を取れるよう、善処すべきだと思う。

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