振り幅を決めて“自分の物差し”を作る
幡野:今日は夏生ちゃんが苦手な50ヤードをお伝えするよ!
井上:50ヤードって誰にとってもすごく難しいよね。ウェッジなのにフルショットじゃない。グリーン近くの30ヤードエリアになると比較的小さな振り幅で打てるけど、50ヤードだとフルショットでもなければ近いアプローチでもないっていう中途半端な距離だからね。夏生はどう打ちますか?
幡野:こないだ井上さんに、「振り幅を決めるといい」って言われたんです。なので、それまでは感覚で振ってたんですけど、今は「チチ(乳)からチチ(乳)」までの振り幅で振ってます。
井上:チチからチチ(笑)。それが50ヤードね。
幡野:はい!
井上:振り幅で覚えるのは大事なんです。得意な振り幅で普通に振って何ヤードっていうのがわかっていれば、他の距離にも対応できますから。たとえば、胸から胸が60ヤードだとしたら、じゃあ55ヤードはどうするか、っていうと「だったら胸から胸のちょっと軽めね」って。そして、この「幅」は自分なりでいいんです。「腰から腰で」って言われると、地面とシャフトが平行くらいっていう人と、手の高さが腰っていう人がいるんですけど、これはどちらでもいいんです。自分なりのメジャーがあればどちらでも関係ない。
幡野:ふむふむ。
井上:で、夏生ちゃんは50ヤードがチチチチなの?(笑)
幡野:はい、私はテーテーチチチチ♡(手の位置が胸から胸までの振り幅の意)
井上:とりあえず振り幅はちゃんと決まってるみたいだから、打ってみよう。
幡野:はい、いってみまーす。
(ナイスショットだが、手は肩の上まで上がっている)
井上:あーうまい。素晴らしい!
幡野:みなさんもぜひチチチチで。
井上:今ぴったり50ヤードだったわけだけど、厳密に幡野プロのストローク幅は実際に胸の高さかっていうとそうじゃなかったですよね。でも、僕は指摘しません。なぜかっていうと、それは関係ないからなんです。つまり高さが胸に上がってるかどうかっていうことより、自分が胸の高さと思う感覚で振ったときの距離を把握することが大事なんです。だから幡野プロの場合、耳くらいまで上がってましたけど、それは全然かまわない。
幡野:テーテーチチチチじゃなくてテーテーミミミミ(手が耳から耳の振り幅の意)でした。
井上:いいんですよ。ビデオに撮って「今のは耳じゃない」とか「ベルトじゃない」とか言ってるよりは、自分の耳と思う感覚が何ヤードかっていうのがわかったほうがずっと役に立つ。
幡野:自分の感覚ではテーテーチチチチだったのに実はテーテーミミミミだったという……暗号のようだ(笑)。
井上:こうして感覚と飛距離が結びつくことによって怖さがなくなるから、力んで失敗することがなくなるんです。自分のストローク幅で振ることが50ヤードを飛ばすコツですね。幡野プロは50ヤードは胸から胸ね。
幡野:違う! チチチチ!
協力:PGM 千葉国際カントリークラブ