淺井咲希の初優勝で幕を下ろしたCATレディス。渋野日向子の不在で盛り上がりに欠ける……ことなく大いに白熱した最終日の優勝争いの模様を、カメラマン・姉崎正がギャラリーロープの内側からレポート!
上位9選手全員に優勝の可能性がある大混戦に
CATレディス最終日は、新たな黄金世代の活躍で女子ツアーの面白さを再確認できる試合となりました。渋野日向子不在の大会でしたが、彼女の全英女子オープン優勝の余韻や影響を若手選手が受けて、勝つことへの見えない壁が取り払われたようでした。
さて、その最終日。前週NEC軽井沢優勝の穴井詩が9番ホールグリーン左手前から3打目のアプローチショットを直接入れてイーグルを決めてから、がぜん優勝争いに火が付きました。それまでの最終組(穴井、青木瀬令奈、淺井咲希)は、静かな闘志の中での闘い。後半3組の9選手すべてに優勝のチャンスあり、予断を許さない展開でした。
前半ググッとスコアを伸ばした柏原明日架を追って9番ホールへ。柏原はこのホールはツーオンならずもアプローチをピタッと寄せ、バーディとして前半だけで5アンダー。9アンダーまでスコアを伸ばし、優勝争いに名乗り出ました。そして、次の最終組を待ちます。
パー5のこの9番は、是非ともスコアを伸ばしたいホールです。浅井咲希は距離のある3打目を見事グリーンに乗せてきました。穴井はセカンドショットを左方向に。グリーン左手前のファーストカット付近で、ほんの少しボールが沈んでるライからのチップインイーグルでした。スコアは10アンダーまで伸ばします。
徐々に差が出始めたフロントナイン。そんな中でイーグルは、値千金の価値ありです。一方トーナメントリーダーの淺井もバーディとし、怯みません。表情も引き締まっています。最終組は浅井咲希11アンダー、穴井詩10アンダー、青木瀬令奈7アンダーでのターンです。
ギャラリーの大群を引き連れイ・ボミも優勝争いに絡んできた!
最終組を追ってパー5の13番グリーンに向かっていると、隣の14番で大歓声が聞こえて来ます。「さてはイ・ボミ、バーディだな」歓声の大きさや雰囲気で感じます。これでトップと1打差です。爆発的なスコアではないけれど、ボギーなしで地味に着実に優勝争いの渦中に入ってのバーディです。
イ・ボミは自身同様に賞金女王経験者の上田桃子、絶好調世代の勝みなみの人気選手たちと同組でもあり、今日も多くのギャラリーを連れてのラウンドです。この後、パー5を2つ含んだ上がり4ホールが待っています。(開催コースの大箱根CCはアウト36イン37のパー73。インにパー5が3つある設定です)。
イ・ボミに15番グリーンでやっと追いつき、そこから追いかけるも、16番ティショットを曲げてしまいます。スコアも伸ばせません。となると、このままの淺井が逃げ切るのか、穴井が追いつくか……。
ドラマは54ホール目、18番・パー5で待っていました。このホールをボギーでも優勝できる位置にまで来た浅井は、3打目をグリーン右手前に。そこからアプローチです。
ラフからの4打目を巧みに寄せ、ボールはピン奥50センチほど。続く5打目のパーパットを沈めれば勝ちます。ボールが少しカップに入りかけて……あっ外れた! 下り傾斜に乗ってどんどんカップから離れて行きます。2メートルは離れたか。この返しを外したらプレーオフ。相手は前週プレーオフを制した穴井です。
最後は“外せばプレーオフ”の状況で浅井の執念で沈めた!
18番は静寂に包まれました。いつものルーティンからのボギーパット……いやいやウイニングパットを放つと見事イン! カップにボールが入る手前でガッツポーズが出ました。黄金世代優勝者の列に、またピリリと光った選手が加わりました。
撮影/姉﨑正
※8月27日13時50分一部内容を修正しました