今シーズンも女子ツアーを大いに盛り上げている1998年度生まれの「黄金世代」。そのスウィングを短期集中でプロゴルファー・中村修が毎日一人ずつ分析していく。6日目は、アマチュア時代に黄金世代として初めて優勝し、今季はすでに2勝とトップ選手として活躍している勝みなみのスウィングを紹介。

スウィングには飛ばしの要素が満載

シーズン2勝目を挙げた中京テレビ・ブリヂストンオープン以降、6試合に出場して5試合で予選落ちと調子を落としていたように見える勝みなみ選手。その後出場したAIG全英女子オープンを35位タイで終え、そこできっかけをつかんだようで、帰国後は3試合でトップ10が2回と調子を取り戻しています。

画像: 今季2勝、ツアー通算4勝(うち1勝はアマチュア時代)を挙げている勝みなみ(写真は2019年の中京テレビ・ブリヂストンレディス 撮影/岡沢裕行

今季2勝、ツアー通算4勝(うち1勝はアマチュア時代)を挙げている勝みなみ(写真は2019年の中京テレビ・ブリヂストンレディス 撮影/岡沢裕行

15歳で女子ツアーに勝ち、プロ入り後もすでに3勝を挙げている世代屈指の実力者。そのスウィングを見ていきましょう。

まず画像Aから。左手甲がターゲットを向く、ややウィーク気味のグリップです。そこからノーコックでテークバック。手元をワイド(体から遠く)に上げて行きますが、右へのスウェーはありません。

その場で背中をターゲットに向けるように腕と同調させながらクラブを上げていき、帽子のつばの向きもテークバックの動きに合わせて動いているのがわかります。体に無理のない、プレッシャー下でも安定した動きのしやすいテークバックと言えます。

画像: 画像A:ウィーク気味のグリップから、背中を素早くターゲット方向に向けるようにテークバック(写真は2019年の中京テレビ・ブリヂストンレディス 撮影/中野義昌)

画像A:ウィーク気味のグリップから、背中を素早くターゲット方向に向けるようにテークバック(写真は2019年の中京テレビ・ブリヂストンレディス 撮影/中野義昌)

続いて画像B。背中に入ったポロシャツのロゴが正面から全部見えてしまうほど深いトップをとりますが、それでも下半身がぐらつくことなくしっかりとエネルギーが蓄えられています。これはしっかりと鍛えられている証拠。そして切り返しでは上半身を開かずに強く踏み込む動きでクラブを引き下ろしています。それにしても左の太ももの筋肉がすごいです。

画像: 画像B:しっかりエネルギーを蓄えたトップから、切り返しでは上半身を開かずに強く踏み込む動きでクラブを引き下ろしている(写真は2019年の中京テレビ・ブリヂストンレディス 撮影/中野義昌)

画像B:しっかりエネルギーを蓄えたトップから、切り返しでは上半身を開かずに強く踏み込む動きでクラブを引き下ろしている(写真は2019年の中京テレビ・ブリヂストンレディス 撮影/中野義昌)

最後に画像Cを見てみましょう。インパクトからフォローにかけて踏み込んだ左足を伸ばす地面反力を使い、クラブはフェースターンをさせながらボールに力を伝えています。

AIG全英女子オープンで勝選手のバッグを担いだ木村翔キャディは、飛距離でも他の選手に負けていなかったと話していました。実際、高いトップにウィークグリップならではのフェースローテーション、上半身と下半身の捻転差、地面反力と、飛ぶ要素が多く含まれたスウィングですね。そこにノーコックという安定感をアップさせる要素をひとつだけ加えているのが、勝選手のスウィングと言えそうです。

画像: 画像C:インパクトからフォローにかけて踏み込んだ左足を伸ばす地面反力を使い、クラブはフェースターンをさせながらボールに力を伝えている(写真は2019年の中京テレビ・ブリヂストンレディス 撮影/中野義昌)

画像C:インパクトからフォローにかけて踏み込んだ左足を伸ばす地面反力を使い、クラブはフェースターンをさせながらボールに力を伝えている(写真は2019年の中京テレビ・ブリヂストンレディス 撮影/中野義昌)

飛距離もさることながら、21歳になったばかりでアマチュア時代も含めればすでに4勝と、スタッツ以上に勝つ力を持っている選手です。少し迷っていたスウィングも全英女子オープンでヒントをつかんだようなので、これから調子を上げてくることでしょう。

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