ドライバー平均飛距離は255ヤード超で現在2位
2017年のプロテストをトップ合格しQT(ツアー予選会)を経て2018年よりツアーに本格参戦。一年目からトップ10に10回入り、賞金ランクも11位と大活躍を見せた松田鈴英選手。
今シーズンはなんといっても5月の「中京テレビレブリヂストンレディス」で優勝争いの中、16番のパー5でティショットを大きく曲げ、暫定球として放った350ヤードを越えるドライバーショットが非常に印象に残っています。
現在ドライビングディスタンス2位、パーオン率3位と高いショット力を示しています。それに加えて、パー5での平均スコアが昨シーズンの29位から5位へと改善していますので、マネジメントやショートゲームの進歩もあることをうかがわせます。実績からいえば言うまでもありませんが、いつ勝ってもおかしくない選手の筆頭です。
スウィングを見てみるとスクェアグリップからテークバックではフェースをボールの向けたまま開かずに遠くへと縦にクラブを上げていきます。画像A右の写真はテークバックの途中ではなくトップ。シャフトが時計の文字盤の2時の位置を指すくらい非常にコンパクトでアップライトなところが特徴です。
続いては後方からの画像を見てみましょう(画像B)。テークバックで右わきを締めすぎないアップライトなトップから、切り返しでクラブをループさせながら右わきを締め、スウィングプレーンに乗せる動きが特徴的です。
見ての通り、手元が肩の位置という早い段階でインパクトでのシャフト向きの延長線上に乗せることができています。下半身がスクワットするように沈み込む動きも見てとれますが、これは飛距離の源になる地面反力を使うための準備が整っていることを表しています。
再び正面からの画像に戻りましょう(画像C)。ダウンスウィングでは手元が低く下りてきてインパクトに向けてややアッパー軌道で振り抜いています。左脚をしっかり踏み込んで伸ばす、地面反力を生かす動きも見られます。オフの間にトレーニングをしたら脚が太くなり過ぎたと本人は話していましたが、シーズンを通して安定した飛距離を生む下半身の筋力はトレーニングの賜物でしょう。
インパクト後の画像(写真右)を見ると、右ひじに余裕があり、左手の向きは手の甲がターゲット方向に向いています。クラブをローテーションさせながらリリースする動きを使わずに、体幹部の回転で押し込むように打っています。飛ばしの要素のうち、フェースローテーションは少なめ、回転力と地面反力を多く使うタイプのスウィングと言えます。
黄金世代はどの選手も練習量と時間も長く、会場で練習終わりに取材しようとすると暗くなるまで待つことがよくあります。
黄金世代の一つ上にあたる松田も負けじと練習量の多い中の一人です。学年や年齢で下の選手たちが初優勝を挙げる中で焦りもあるとは思いますが、必ずチャンスは訪れます。穴井詩、葭葉ルミに続いて飛距離を武器に大きなゴルフを見せてくれる松田鈴英の後半戦に期待します。