前モデルからガラッと変えてきたヤマハ「RMX」
「この秋のドライバー全体の傾向として、コンセプトがはっきりしたモデルが多いですね」と鹿又。なかでも大胆なチェンジを行い、確固たるコンセプトを打ち出しているのが、ヤマハの「RMX120/220」だという。
「飛ばすためになにをするか。それをカタチにすべく前モデル発売直後からすぐに取りかかったと言いますが、言葉の通りガラッと変化させてきました。とくにRMX220は大きなシルエット通りに慣性モーメントの大きさが性能に出ていて、非常に安定して曲がらないクラブになっています。プロ使用率の高いRMX120も、大慣性モーメントでオフセンターヒットでも飛距離ロスが少ないクラブ。同時にアドレス時の見え方、座りの良さからは、ヤマハらしい作り込みの良さを感じますね」(鹿又)
また、慣性モーメントの大きいクラブは、ミスヒットに強い反面、その慣性モーメントの大きさゆえに振りにくさを感じることがあるが、RMX220は振りにくさがなく、ヘッドスピードの早くない人にも恩恵があるという。
大慣性モーメント+大重心角がスライサーにやさしい「eggゴーゴー」
もうひとつ、大慣性モーメントをうたっているのがPRGRの新しい「eggゴーゴー」ドライバー。こちらは大慣性モーメントに加えて、37度という極めて大きい重心アングルが特徴。重心アングルが大きいとフェースをスクェアに戻しやすくなる。一般ゴルファーにとってはスライスしにくく、使いやすいクラブだ。
「ヘッドスピードをボール初速に変換するためにはスクェアインパクトが絶対条件になりますが、それをアマチュアゴルファーがやりやすいドライバーですね。大きいドライバーだとどうしてもフェースが開いて当たってしまうゴルファーにとっては、プラスアルファの飛距離を十分望める仕上がりです」
鹿又は、エッグゴーゴーのシャフト長を短くし、さらにミートさせやすくした「eggゴーゴー インパクト」のコンセプトも高く評価する。
「『インパクト』はミート率に特化したクラブで、明らかに実際に使っているユーザーの悩みに対してアプローチしてくれています。ドライバーが嫌いな人、スライスしてしまう人、安定しない人は使ってみると価値がわかるクラブではないでしょうか」
シャフトを含めた作り込みの良さが際立つ「XP-1」
続いてミート率つながりで見逃せないのが、本間ゴルフの「ツアーワールド XP-1」だ。こちらは45.25インチと市販品の中では“やや短尺”な仕様で、やはりミート率を高めることを目指したモデル。
「ミート率を上げるというのはすごく難しいお題なんですが、XP-1の場合はプレーヤーがグリップしている感覚と、ヘッドの挙動がリンクしやすくなっているのが特徴で、結果として10球打っても平均飛距離の差が少ないクラブに仕上がっています。これはヘッドだけでは無理で、シャフトの挙動をすごくよく作っているからこそできること。シャフトもオリジナルで作り続けている本間ゴルフの特徴がすごく出ているモデルですね」
安定スピンと反発性能で飛ばす「ツアーB JGR」
最後は、女子プロが軒並み変えて飛距離を伸ばし、裏面からフェースを支える機構「サスペンションコア」も話題のブリヂストン「ツアーB JGR」。これを鹿又は“飛距離性能特化モデル”と評価。
「特徴は低スピンになりすぎないこと。飛ばせるスピンはヘッドスピードによって異なりますが、このクラブは2000(回転/分)台で安定し、飛距離を稼げています。超低スピンモデルみたいな衝撃はないんだけど、行ってみると飛んでいるっていう不思議なクラブで、それを可能にしているのがサスペンションコアと、ブリヂストンがずっとやってきたクラウンのたわみ。クラウンがたわんでしっかりと打ち出し角が確保できるのと、サスペンションコアによるフェース全面の高い反発力が合わさって、効率良く飛ばせる弾道にしてくれています」
とくにヘッドスピード40m/s前後の人が打った場合に、もっともテクノロジーの恩恵が受けられるという。
大慣性モーメントでとにかく曲げずに飛ばせるヤマハRMX、大慣性モーメント+大きい重心角でボールをつかまえて飛ばすエッグゴーゴー、シャフトを含めたトータル性能でミート率を高めたツアーワールドXP-1、そしてテクノロジーを駆使して高い反発性能で飛ばせる性能を手にしたツアーB JGR。
「アマチュアがやさしく飛ばせるクラブ」というところはすべて共通するところだが、その目標に対するアプローチの仕方はクラブによって様々。気になるクラブは比較試打して、自分にぴったりのドライバーを見つけるのがいいだろう。