どちらもフェース面に工夫した激スピンウェッジだが……
テーラーメイドとキャロウェイの新作ウェッジをいち早く試打してきました。どちらも、メーカーが推す特徴はフェース面。テーラーメイドは市販モデルでは珍しいノーメッキのフェースを採用しました。メッキしないことで、メッキの皮膜により溝が埋まるのを防ぎ、高いスピン性能を得られます。一方のキャロウェイは溝に工夫を施し、その名の通り“ジョーズ”のようにボールに、そして芝に食いつくスピン性能を確保しています。
飛距離を求めてボールのスピン量が減る傾向にある中で、グリーン周りからスコアを作るためにはやっぱりスピンが必要。ということで、両者ともにスピンにフォーカスした性能となっています。
まずミルドグラインド2。ツアーでは当たり前のノーメッキウェッジですが、錆びやすいのがデメリットで、メンテナンスは必須ですが、その錆もスピン性能向上に一役買うそうです。
構えてみると、ノーメッキのため開いたときにまぶしくないことで、ボールに集中できます。顔つきはコンパクトで開きやすく操作性の高さを感じられます。打った感触はプロ仕様のノーメッキのウェッジと変わらず柔らかくボールが食いつく感覚ですね。
少し遅めのグリーンや雨上がりであればビックリするくらいのスピン性能を体感できるはずです。「サマンサタバサレディース」の練習日に試した葭葉ルミ選手も市販モデルでありながらスピン性能が高いことに驚いていました。
ラインナップは48度から2度刻みで60度まで。バウンスはスタンダード(58度で11度)とローバウンス(58度で8度)の2種類が用意されています。また、このシリーズにはかなり注目したいモデルがあるのですが、それは後述しましょう。
さて、一方のキャロウェイのジョーズウェッジ。「セガサミーカップ」で試した石川遼選手は、20~30ヤードのアプローチでのスピン性能の高さを好評価していました。
実際に構えてみるとそれまでのマックダディシリーズを踏襲しながらもアイアンからの違和感ない流れを大切にしたという安心感のあるフォルム。打った感触はノーメッキに近い柔らかさでスピンの利いた中弾道でグリーンに食いつきます。スピン性能は文句なし。
ラインナップは46度から2度刻みで60度までと64度も用意されています。そしてバウンスは56度で3種類、58と60度では5種類と豊富に用意されています。注目したいのはここ。つまり底=ソール形状です。
ローバウンスのCグラインド(バウンス角8度)、オーソドックスなSグラインド(同10度)、ワイドソールのWグラインド(同8度と12度)、ワイドソールのトウ・ヒール側を削ったXグラインド(同12度)の4種類があるわけなのですが、私のイチオシはバウンス角12度のXグラインド。
これは非常にやさしさを感じる、進化形といっていいソール形状。バウンスはありながらもトウ・ヒール側を削り落としてあるので開きやすく跳ねることもない。それでいてしっかり滑ってくれて安心してボールにコンタクトできます。アプローチが苦手な人はワイドソールもお勧めですが、Xグラインドも試していただきたいところ。
ワイドソールはやさしい反面硬くしまったバンカーなどを苦手としますが、Xグラインドはそれもありません。プロでも使えるし、アマチュアは本当にやさしく使えるはずです。
そしてもうひとつの私のイチオシが、フェース全面に溝が刻まれたテーラーメイドのハイトウウェッジから“カスタム限定”で登場した、ワイドソールでバウンス角15度の「ビッグフット」です。これが強烈にやさしいんです。
15度とかなりの大バウンス角ですが、ジョーズウェッジのXグラインド同様、トウ・ヒールを削ってあるので思いのほか抜けが良く、芝の薄いライでもボールの沈んだラフからでも簡単に脱出できました。アプローチが苦手なアベレージゴルファーに限らず、上級者でもアプローチが得意でないなら一度手にとってもらいたいですね。
ミルドグラインド2を開発したテーラーメイドのビル・プライス氏によると、PGAツアーでも58度のウェッジのロフトを2度寝かせて、バウンスを強くして使う選手も多いと聞きました。ザックリしないようにスウィングの軌道を改善することも重要ですが、バウンス角が大きく、滑ってくれるウェッジを選ぶことで、アプローチが劇的に良くなることも期待できます。
ウェッジは溝が減るとスピン性能が保てなくなるので比較的買い替え頻度の高いクラブです。そして、その性能はドライバーほど目立たないものの日進月歩。スコアに直結する新しいウェッジを探してみていかがでしょうか。