左足を真後ろに「こする」ように引く動き
3Dモーションプレート「スウィングカタリスト」は足元に敷くマット状の器具。左右の足裏の体重のかかり具合から、横方向へ移動する力、回転力、地面反力の3つの力がスウィング中にどう変化するかを可視化することができる。
近年では、このような計測器が米国を中心に多く開発され、開発者が来日してレッスンイベントや、インストラクター認定セミナーを行うというケースが多くある。石井忍はそれら最新の器具や理論を積極的に吸収するコーチの一人で、スウィングカタリストを自身のスタジオ「エースゴルフクラブ」にも導入している。
原田は札幌を中心に活動していることもあり、それら最先端のセミナーに受講する機会が少ない。そこで、最新の器具やメソッドに触れるべく、石井の門を叩いたというわけだ。我ら一般ゴルファーの知らないところで、実は日夜このようなプロ同士の情報交換が行われているのだが、それはさておきその模様をお伝えしよう。
実際にスウィングカタリストの上に乗り、原田のスウィングを計測した石井は言う。
「さすがに飛ばしの要素が詰まったスウィングですが、地面を蹴り上げる縦の力にまだ向上の余地があります。縦の力のことを『バーティカル』と呼ぶのですが、原田プロのバーティカルの力は、スウィングのハーフウェイダウンで一番強くなり170パーセントの数値が出ています。これは体重の1.7倍の力で蹴り上げていることになり、十分高い値なのですが、プロでより飛ばしていく人は200~250パーセントくらいの数値が出ます。更に飛距離アップを狙うのならこのバーティカルの数値を向上させていきましょう」(石井)
石井はこのバーティカルの数値向上のためおススメの動きがあるという。
「インパクトのときにシューズの後ろにグッと圧が掛かるように意識してみてください。左足がボール二個分くらい真後ろにずれるようでも構いません。そうすることでバーティカルの数値の向上できるはずですし、前傾が崩れないというメリットもあります。僕らはこの動きをゴシゴシ擦るから"スクラブ"って呼んでるんです」(石井)
早速素振りをしてみる原田。「これ(スクラブの動き)ドラコンの選手がよくやっているなあ」(原田)となんとなく心当たりがあるようだ。
実際にボールを打ってみるとバーティクルの数値は大幅アップの231パーセント。これは体重の二倍以上の力で地面を蹴っていることになる。
「スウィングの流れも良くなり、力が入るタイミングも改善しましたね」(石井)
この最新器具を用いた“目で見える”レッスンには原田も納得の様子で、「これは動画でいくらスウィングを撮ってもわからない。数値化されて初めてわかることですね」と感心しきり。
「キワモノとされていた『スクラブ』のような動きも、こうやって実際の数値の向上に結び付いていれば、やってもいいんだなと判断することができます。地面反力など実際の動きとしては見えない力のかけ方も、数値の変化で良し悪しが分かる。こうやって最新機器を活用できるのはかなり有利ですよ」(石井)
スクラブの動きだけではなく、他の動きも更に研究中とのこと。びっくりするようなスウィングの動きが近い将来主流になってしまうかも。
協力:エースゴルフクラブ赤坂