風月CCで開催された一次予選A地区では櫻井見音が14アンダーでトップ通過。実に3位までが二桁アンダーを出した(通過は5オーバーまで) 。ゴルフ倶楽部成田ハイツリーが舞台のB地区では笹生優花が11アンダーでトップ通過(通過は9オーバーまで)。2日間の日程で開催された東建多度CC・名古屋が舞台のC地区では古川莉月愛が8アンダーでトップ通過(通過は6オーバーまで)。
コースやセッティング、その日の天候やピンポジションに大きくスコアが左右されるのがゴルフだが、明らかにプロテストの“一次予選”としては破格のスコアが続出しているように見える。この状況を、プロコーチ・井上透がこう語る。
「プロテストのレベルは今までの常識では考えられないくらい上がっています。従来は合格した20名の中でもツアーで通用するのは3人くらいだったところ、今では20名全員がツアーで戦えるレベルを持っていますし、なんならテストを通過できなかった選手でさえツアーで戦えるレベルを持っています。それくらいプロテストのレベルが上がっているんです」(井上)
ここで、昨年、つまり2018年のプロテスト合格者の顔ぶれを見てみよう。代表選手はこんなところだ(カッコ内は順位)。
エイミー・コガ(1位)
大里桃子 (3位)
臼井麗香(5位タイ)
三ヶ島かな(7位)
脇元華(8位)
河本結(9位)
原英莉花(10位タイ)
菅沼菜々(10位タイ)
渋野日向子(14位タイ)
高橋彩華(19位)
稲見萌寧(20位タイ)
と、今をときめく選手たちの名前がズラリ。本来ならばツアーに参戦するだけでドキドキの“ルーキー”であるはずのこのメンバーだけですでに(渋野日向子の全英女子オープンも含めて)7勝を挙げており、勝利には届いていなくても賞金シード圏内で戦う選手も数多い。彼女たちは昨年8月までは日本女子プロゴルフ協会が認める“プロ”ではなかったということに、改めて驚かされる。
ちなみに、今年下部ツアーのステップ・アップ・ツアーで史上初の3連続優勝を果たしたスカパンは32位タイで昨年のテストは不合格。井上が言うように「テストを通過できなかった選手でさえツアーで戦えるレベルを持って」いることがその事実からもわかる。
これは、言い換えればアマチュア選手のレベルがとんでもなく上がっているということだろう。井上は、それが端的に表れているのが今年の日本女子オープンの最終予選の結果だという。そのリーダーボードを見てみると、57名の通過者のうち14名がアマチュアとなっている。2位の星川ひなのを筆頭に、トップテンにも4名が名を連ねる。彼女たちにとって、目指すのはローアマ(最優秀アマチュア)ではなく、ズバリ“優勝”かもしれない。
「日本女子オープンの予選結果を見てみると、(本戦で)アマチュアが勝ってもおかしくありません。(98年度生まれの)黄金世代だけでなく、その下の世代にも実力を持った選手が数多くいて、全体のレベルが相対的に上がっている勝みなみさんがアマチュアで初優勝したことや最近では渋野日向子さんの活躍、同世代の相乗効果のおかげもあって、プロレベルのアマチュアが多数存在していますし、その中で勝てる実力のある選手も多数います」(井上)
プロとアマチュアの実力的な垣根が崩れつつある戦国時代。それでもプロになれるのは年間わずか20名だけの超・狭き門。プロテストは今週一次試験最後となるE地区予選が開催され、今月末から来月にかけての二次予選へと戦いの場を移す。果たして11月の最終予選まで生き残り、20枚しかない切符を手にするのは誰なのか。激しい戦いは、まだはじまったばかりだ。
※記事中、P・チュティチャイ選手を「今年レギュラーツアーで初優勝を挙げた」と表現しましたが、事実誤認でした。お詫びして訂正いたします(2019年9月17日16時15分)。