男子ツアー「フジサンケイクラシック」はパク・サンヒョンの勝利で幕を閉じた。石川遼が爆発的にスコアを伸ばし、あわや……という見せ場も作った最終日の模様を、カメラマン・姉崎正がレポート!

全英OPアジア人最上位のパク・サンヒョンが鉄壁のゴルフを展開した

台風15号接近による早い雲の流れで、富士山が見え隠れしたフジサンケイクラシック最終日は、
パク・サンヒョンの逆転優勝で幕を閉じました。

私の朝の予想では、チャン・キムとチェ・ホソン(虎さん)のマッチレースと考えていました。さらには3日目の様子を見て(ショットが好調の虎さん有利)とも感じていました。

開催コースの富士桜カントリークラブのパー5は3番(570ヤード)、6番(596ヤード)、15番(590ヤード)、17番(568ヤード)。そして14番が最終日にティを前方にしていて、ワンオン可能なパー4(308ヤード)となっています。

画像: 4日間60台で回り、フジサンケイクラシックを制した朴相賢

4日間60台で回り、フジサンケイクラシックを制した朴相賢

撮影ポイントも、これらスコアの伸びるホールを軸に考えることになります。あとはスコアがどう動くか。石川遼はどこまで優勝に迫れるか。爆破的スコアを出せる選手はいるのか。

石川遼組と共に1番グリーンから3番セカンド地点まで来ました。同組の池村寛世と同じ地点にボールがあります。ともにドライビングディスタンス上位選手。今年はわずかに石川が平均飛距離で上回っていますが、飛距離争いでも興味深い二人です。

石川がセカンドショットを構え、ちょっと考えてからロングアイアンに持ち替え。放たれたボールはグリーンカラー、そこから寄せて今日2つ目のバーディ。この時点で6アンダー、トップは13アンダー。トップの背中は遠い彼方です。

6番セカンドに最終組を迎えようと向かっていると、虎さんの奧さんに遭遇しました。何か心配そうな表情です。私を見つけると「5番ホール、ダボです」と日本語で教えてくれました。

これには私も「えっ!」と絶句。本命と目していた虎さんの後退で、戦況は混沌として来ました。ですが流石に虎さん、6番グリーンで長いバーディパットを決めてひとつ取り返しました。

又、虎視眈々と勝機を伺うパク・サンヒョンもこのホールをバーディとして11アンダー。グッとトップに近づきました。

7番パー3では虎さん懸命のナイスパー。チャン・キムは短いパーパットを外してボギー。彼の大きな体全体から「ナゼだ、何故入らん!」という声なき叫びが聞こえてくる様です。

画像: 最終日の7番ホールでナイスパーの虎さん

最終日の7番ホールでナイスパーの虎さん

3日目終えてのトーナメントリーダー二人が伸び悩んでいる中、ボギーを打たないパク・サンヒョンは8番もバーディとして前半を終えて12アンダー。

チャン・キムはノーバーディ2ボギーで11アンダー。虎さんは2バーディ1ダブルボギーで13アンダー。こうなると追うほうが有利かと思いますが、意外性の男である虎さんはそんな常識を打ち破るか?

一旦18番グリーンと10番セカンド地点の間にあるメディアセンターに立ち寄り、情報を得ると同時に、表彰セレモニー撮影用の準備をしたりします。

メディアセンターのスコアボードで成績を確認。石川遼が伸ばして来ています。すぐに出れば石川の15番パー5に間に合いそう。これからの雨に備えて、雨ズボンに着替えると急ぎ向かいます。

10番から1番を横切り3番へ。そこではインスタートの最終組がプレー中です。打ち終えるのを待って横切り、12番も横切って15番セカンドへ。間に合いました。

画像: 15番のセカンドショット。故アーノルド・パーマーのようなハイフィニッシュを決めた石川

15番のセカンドショット。故アーノルド・パーマーのようなハイフィニッシュを決めた石川

ロングアイアンを手にしています。打ちました、あれ!フィニッシュがアーノルド・パーマーになってる。クラブを高く上げたまま頭上でフィニッシュして、そのままボールの行方を見ています。ボールは左かな。グリーン左のバンカーです。そこから乗せてバーディ。

2桁アンダーに乗せてきました。遠くに見えていたトップの背中がシッカリと視界に入ります。この時点でトップと2打差。もう一つパー5があるし現場は“奇跡を起こすか遼!”な感じです。

期待通り(本当はイーグルが見たいけれど)17番をバーディで終え最終ホールに向かいます。が、スコアボードには石川の逆転の夢を打ち砕くパク・サンヒョンの14アンダーという数字が出ています。

ですが、何が起こるか分からないのがこのスポーツ。石川は18番バーディで後続を待ちたいところ。

その18番のセカンドはフェアウェイから、あれっ! ショートでグリーン手前へ。どうしたのか? ありえないショートで、このホールをパーで12アンダーのホールアウト。でも、ナイスラウンドでした。

スコアボードを確認すると、今度は岩田寛が優勝争いに名乗りを上げています。石川の18番を見届けるや否や急ぎ岩田がプレーする17番へ。セカンドショットはフェアウェィウッドかUTか。ここまで岩田は1イーグル6バーディ2ボギーできています。打球はグリーン左脇ラフへ。そこから寄せてバーディ。変わらぬクールなバーディ後の仕草でトップと1打差につけました。

岩田の18番は惜しくもバーディならずで13アンダーフィニッシュ。ツアー後半戦に期待が持てるナイスラウンドでした。

優勝のパク・サンヒョンは最終日ノーボギーで前後半それぞれバーディ3つ。トゥディ6アンダーで鉄壁のラウンドでした。優勝セレモニー時の彼の話で、全英OPの結果が自信になったと語っていました。ロイヤルポートラッシュの雨風や大観衆のラウンドでの2アンダーはアジア人最上位の16位タイ。その成績は実力通りでした。

そして、今日の雨風コロコロ変わる天候は全英に通じるものがあったのでしょうか。苦楽を共にするキャディのパブロが全英で担いでいたのも、きっと好材料だったのでしょう。

This article is a sponsored article by
''.