現在の日本人世界ランク上位2名といえば畑岡奈紗(9位)と渋野日向子(13位)の黄金世代2人だが、この二人が今週「日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯」にエントリー。注目を集める二人のスウィングをプロゴルファー・中村修が注目した。

フェースを返す畑岡奈紗と、返さない渋野日向子

畑岡奈紗選手は今季優勝1回、トップ10は5回。7月から予選落ちが3度続きましたがその後は5位タイ、4位タイと調子を上げて「日本女子プロ」に乗り込んで来ました。米ツアーを拠点に戦い、世界ランク9位という成績が示す通り、結果を出し続けるポテンシャルはズバ抜けています。

そして今季飛躍を遂げた渋野日向子選手は、全英女子オープンの後も上位争いを続け、獲得賞金1億円突破は目前。連続オーバーパーなしのラウンド記録も継続しています。世界ランクは13位で、この二人が来年の東京オリンピック日本代表の最有力候補といっていいと思います。

さて、黄金世代というくくりを超え、日本の女子ゴルフ界をリードする二人のスウィングを見比べてみると、それぞれタイプが異なることがわかります。畑岡選手はフェースローテーションを使い、地面反力も多く使って打つのに対し、渋野選手はフェースローテーションは少なめで、回転力を多く使って打つタイプと言えるんです。

画像: 畑岡と渋野、両者とも米女子ツアーで結果を出した注目選手だ(撮影/岡沢裕行、大澤進二)

畑岡と渋野、両者とも米女子ツアーで結果を出した注目選手だ(撮影/岡沢裕行、大澤進二)

両者の違いがもっとも顕著に見られるポジションはダウンスウィング。そこでの左手首の角度に注目です。フェースローテーションを使う畑岡選手は左手の甲が真っすぐかやや手首側に折れていて、フェース向きもややオープン。それに対してフェースローテーションが少ない渋野選手は左手甲を手のひら側に折るように使い、フェースはボールを向くように閉じ気味に使っています。

画像: フェースを返していく畑岡はわずかに手の甲側に手首を折っているのに対し、返さない渋野は手のひら側に手首を折っている(撮影/姉崎正、中野義晶)

フェースを返していく畑岡はわずかに手の甲側に手首を折っているのに対し、返さない渋野は手のひら側に手首を折っている(撮影/姉崎正、中野義晶)

インパクト後の手首の角度に注目して見ると、しっかりとフェースをターンさせる畑岡選手は正面から左手のグローブが見え、右手が上、左手が下になるように使っています。一方の渋野選手は右手は下、左手は上になるように使っています。

画像: インパクト~フォロー時の手元を正面から見ると畑岡は左手が見えているのに対し、渋野は左手が右手に重なりほぼ見えない。フェースローテーションの度合いで形はこれだけ変わる(撮影/姉崎正、中野義晶)

インパクト~フォロー時の手元を正面から見ると畑岡は左手が見えているのに対し、渋野は左手が右手に重なりほぼ見えない。フェースローテーションの度合いで形はこれだけ変わる(撮影/姉崎正、中野義晶)

フォローの形を後方から見てみると、畑岡選手は左手のかかとが地面から離れていて、地面を踏んでひざを伸ばすように縦の地面反力を多く使っていることがわかります。対して渋野選手は右の側屈(サイドベンド)が強く、縦に力を使うというよりは回転しながらボールをとらえていることがわかります。

画像: 畑岡は縦方向に伸び上がり地面反力を、渋野は「くの字」になるように側屈し回転の力を主に利用している(撮影/姉崎正)

畑岡は縦方向に伸び上がり地面反力を、渋野は「くの字」になるように側屈し回転の力を主に利用している(撮影/姉崎正)

どんなプレーヤーでも調子の波はあるものですが、その中で故障なく安定した成績を収めているのは、力の使い方が本人にとってナチュラルな動きで効率がいいということを表しています。スウィングタイプが違っていても二人とも再現性が高いスウィングをしていますね。

予選は同組にならなかったのでぜひ決勝ラウンドで直接対決を見たいところですが、この二人以外にも上位争いしそうな選手が若手、中堅、ベテランと数多く存在するのが現在の女子ツアーです。誰もが勝てる実力を持っているのでどんな戦いが繰り広げられるのか非常に楽しみな週末を迎えられそうです。

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