畑岡奈紗の勝利で幕を閉じた日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯。その会場でギャラリー向けの解説ツアーを担当していたツアー6勝のベテラン・天沼知恵子が、生で見た渋野日向子、畑岡奈紗の“黄金世代2トップ”の強さの秘密をわかりやすく、ディープに解説!

集まったギャラリーは4日間で3万5719人。とくに最終日は1万3000人を超える大ギャラリーが熱戦を見守った「日本女子プロ」。

画像: 黄金世代の2トップの強さの秘密とは?(写真は左が渋野日向子、右が畑岡奈紗)

黄金世代の2トップの強さの秘密とは?(写真は左が渋野日向子、右が畑岡奈紗)

「とにかくギャラリーが多かったです。まずは会いたい、一目見たいという雰囲気がありましたね。一方、ゴルフのコアなファンの方は、どんなゴルフをするんだろう? 球筋や打球音を直接見て、感じたい、という見方をしていたと思います」

と天沼知恵子が語るのは、言わずもがな、渋野日向子のことだ。天沼自身にとっても、「一緒に回る機会がなかった」ということで渋野を間近で見るのは初めて。その印象を、こう語った。

画像: インパクトゾーンが長く、フォローが大きいのが渋野のスウィングの特徴だと天沼は言う(写真は2019年のNEC軽井沢72ゴルフトーナメント 撮影/大澤進二)

インパクトゾーンが長く、フォローが大きいのが渋野のスウィングの特徴だと天沼は言う(写真は2019年のNEC軽井沢72ゴルフトーナメント 撮影/大澤進二)

「足腰が強いし、スウィングがしっかりしています。フォローが大きくて、長く、インパクトゾーンが長いですよね。昔、自分が目指していたインパクトゾーンの長いスウィングですね。上から打ち込むというよりは、ボールを運ぶように打ってます。そして、ティショットもセカンドも攻め方の判断、決断が早いから、見ていて不安がありません。『できないことはやっていない』できることに集中していました」(天沼)

ソフトボールで鍛えられた足腰の強さ、そして、「できないことはやらない」かわりに、できることにはマックス集中する、そのメリハリが印象的だったという。

対して、優勝した畑岡奈紗のことはこう評価する。

「先に海外に出ていたのに(渋野に)メジャーで優勝されたから悔しいとは思います。その悔しさをどこかに秘めていて、日本での試合で結果を出そうとしていたと思いますが、簡単に(結果を)出せるわけではないですし、ほとんどは空回りしてしまうことが多い。よほど努力をしてきたんだろうと思います」

米女子ツアーで3勝。世界ランクも一桁台。海外メジャーに勝てる日本人女子ゴルファーといえば、畑岡奈紗。多くの人がそう考えるなか、42年ぶりにメジャーの扉をこじ開けたのは、スマイルシンデレラ・渋野だった。その悔しさを隠さず、日本に帰国した試合でいきなり勝てる。それこそが、畑岡奈紗の実力ということだろう。

画像: 米女子ツアーで3勝を挙げている畑岡の「落ち着き」を天沼は高く評価した(写真は2019年のダイキンオーキッドレディス 撮影/姉崎正)

米女子ツアーで3勝を挙げている畑岡の「落ち着き」を天沼は高く評価した(写真は2019年のダイキンオーキッドレディス 撮影/姉崎正)

「スウィングは、アドレナリンが出てきたときにインパクトが強くなるのを気にしていたようです。アドレナリンさえもコントロールできていた。本当に落ち着いてるなと思いましたし、(元世界ランク1位の)フォン・シャンシャンですらその落ち着きに付け入るスキを見出せなかったと思います。本当に強い選手です」(天沼)

さて、この試合の決勝ラウンドに進出した61名のうち、畑岡、渋野と同じ98年度生まれの黄金世代のプレーヤーは9人いた。そのことについても、天沼は驚きを隠さない。

「あの(難しい)セッティングで9名、その下の世代も何名かいて、若い選手はすごいなと思いました。不動裕理さんが21歳でプロになって、すぐに試合で活躍したときはすごいと言われました。私たちのころは33歳がピークになると言われていましたから、30代で活躍できるように、20代では5年計画でした。これだけ若年齢化が一気に来るのは、自分の中でも誤算。33歳がピークどころか、20代前半がピークになってきていますね」

渋野日向子と畑岡奈紗はこれからも何度も戦う機会があるはず。日本最強の女子プロは誰か、その争いにさらに下の世代も割って入ってくるようだと、ますます面白くなるに違いない。

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