今シーズンをQT(予選会)ランキング24位の資格でフル参戦している田中瑞希選手。開幕から7試合連続で予選落ちし、最高順位もフジサンケイレディスでの18位と結果を残せずにいました。
黄金世代ということもあり、どういう選手かなと気になっていた彼女を初めて見かけたのは「NEC軽井沢72」の練習日でのこと(本戦には出場せず)。スウィングの連続写真を撮影させてもらったのですが、151センチと小柄な体ながら、キレのいいスウィングでしっかりと飛距離も出せているところが印象に残っていました。
その後も苦戦が続いていましたが、直近の出場試合である「日本女子プロ」では2試合続けて予選を通過すると3日目を終えてトップの畑岡奈紗と4打差の4位タイ。最終日に崩れ23位タイでフィニッシュしましたが、ポテンシャルを示しました。本人に話を聞くと、
「(日本女子プロゴルフ)選手権のときはずっとプレーしているのが楽しくて。ラフが深かったのですがショットが凄く安定していたので、それが一番スコアにつながったと思います。曲がらないという自信がついてきたことで、気持ちよく振れるようになりました」(田中)
と笑顔で回答。ここまでツアーの慣れない雰囲気や周りのレベルの高さなどから、自分のスウィングができずにいたといいますが、これをきっかけに一気に“覚醒”する可能性もあると思います。
そんな彼女の練習を見てみると、これが非常に個性的。なんと、アイアンのシャフトを握ってシャドースウィングしています。この練習にはインパクトで手元が浮かないようにするという効果があるそう。
「インパクトで手元が浮いて、体も伸び上がり、フェースのコントロールが悪くなるのを防ぐことが目的です」と本人。シャドースウィングと実際にボールを打つことを繰り返すことで、動きを体に覚えこませながら練習していました。
身長151センチながら240ヤード(日本女子プロゴルフ選手権での平均飛距離)を飛ばすスウィングを見てみると、トップでのクラブの位置はコンパクトですが体のねじりは非常に大きいところがポイントです(画像A)。下半身を止めずに深く体をねじることで回転量を増やし、強くスピードのあるダウンスウィングに結びつけています。
画像B左の写真を見ると、クラブが地面と平行になる位置でフェースの向きがボール方向を向いていて、インパクト後もフェースターンがほとんど起きていません。顔をターゲット方向に向けながら左腕を体の近くに通して回転力を高めた、飛距離と方向性を両立させたスウィングと言えます。
さて、日本女子プロでは最終日に「今までにないフワフワした感覚」に襲われて崩れてしまったという田中選手。その反省から、次チャンスがきたときは、「あまり先のことは考え過ぎずに、一打一打プレーできればいいかなと思います」と明るく答えてくれました。
渋野日向子選手を筆頭に、黄金世代の選手たちは突如大爆発したり、覚醒したりする傾向にあります。スウィングのキレを見ても、田中選手が黄金世代10人目の優勝者になる可能性も十分にありそうです。まずは今週トップ10フィニッシュを目指すという田中瑞希の名前に、ぜひ注目してください。