今やクラブを試打する際はデータ計測を行うのが半ば当たり前となっている。が、ギアライターの高梨祥明はその際「1球ごとに数字は見ないほうがいい」という。データ重視の時代だからこそ大切にしたい、試打する際のポイントを解説。

弾道データ測定を生かす秘訣【1】一球ごとに「数字をみない」

弾道測定器の普及によって、誰もがクラブの違いによる弾道決定要素(ボール初速・バックスピン・打ち出し角度)の変化を数字で確認できる時代になった。もちろん、弾道高さのイメージや曲がり幅もシミュレーション画面で確認でき、気になるキャリー、トータル飛距離もバッチリ「数字」で確認できてしまう。

この状況で「数字を見るな」といっても難しいかもしれないが、基本的にはあまり数字とにらめっこになるのはオススメできない試打法である。どうしても一球打つごとに、今のは何ヤード? バックスピンは適正? と確認したくなってしまうのだがその気持ちをグッと我慢して欲しいのである。

画像: 弾道計測定器で飛距離はもちろんヘッドスピードやボール初速、スピン量を確認することができる(撮影/矢田部裕)

弾道計測定器で飛距離はもちろんヘッドスピードやボール初速、スピン量を確認することができる(撮影/矢田部裕)

その理由は、最初に特定の数字を見てしまうとその数字を適正といわれる範囲に収めるようにいろいろなスペックを試すことになってしまい、本当に見極めるべき大事なポイントに目がいかなくなってしまうからだ。

弾道データ測定を生かす秘訣【2】5球打ったら「バラツキを見る」

ゴルフクラブの試打でまず見極めたいのは、ズバリ“再現性”である。自分が同じように振ったときに、同じようなスピードで振れているか、同じような打点で当たっているかが、各データの数字を精査するよりも前にチェックしなければならないポイントだと思うのだ。

画像: 数値よりも前に確認すべきなのはショットのバラツキだという

数値よりも前に確認すべきなのはショットのバラツキだという

5球打った中でナイスショットが出たり、ミスになったりするクラブよりも、5球とも同じミスが出たクラブのほうが、実は “ラウンドで役立つ”クラブになる可能性が高い。なぜなら同じように振って同じようになる“再現性”の高いクラブだからこそ、調整を加えることで、逆にナイスショットを連続して打てるベストクラブになる可能性があるのだ。

具体的にいうと、まずは同じように振りやすいシャフトを見つけることである。違う銘柄のシャフトを同じスペック(例えば60g台・硬度S・45インチ)で次々に試すのではなく、できることなら同じ銘柄で違う重さ、硬さ、長さに変えて試していただきたいのだ。そのほうが振りやすさの違い、再現性の違いを明確に感じ取ることができる。

画像: シャフトの長さを変えることで、振りやすさ、再現性の違いを明確に感じることができる

シャフトの長さを変えることで、振りやすさ、再現性の違いを明確に感じることができる

スイングリズムが安定することで、打点も安定。そうなって初めてヘッド、ロフトの違い、ウェイトやシャフトスリーブの傾きなどの調節機能による弾道変化を活かして、綺麗な弾道に導き、それを連続して打ちやすくできるわけである。

個人的には、とくにシャフトの長さと硬さを変えた時の再現性と弾道傾向に注目していただきたいと思う。細かい打球データの“最大”や“適性”を追いかけるよりも、何度も同じことになる、ちょうどいい“振りやすさ”に出会うことのほうが打っていて楽しいはずなのだ。最後に、今持っているクラブを短く握るだけで、再現性が高まる可能性が高いことも付け加えておきたい。

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