「前から日本ツアーのレベルは高くなっている」アン・ソンジュ
少し前の話になってしまいますが、畑岡奈紗選手の勝利で幕を閉じた日本女子プロには、世界ランク1位経験者が、実に3名出場していました。すなわち、パク・インビ、フォン・シャンシャン、そしてシン・ジエの3選手です。
そのうち最上位でフィニッシュしたのはフォン・シャンシャン選手で、大西葵選手と並んで2位タイ。パク・インビ選手は9位タイ、シン・ジエ選手はなんと今季初の予選落ち。
彼女たちの実力は疑う余地がありませんが、日本ツアーの選手たちも気後れすることなくよく戦っていました。ラフの長いタフなセッティングの4日間競技は真の実力が問われますが、そのプレーぶりからは、女子ツアーは本当にレベルが上がったなと痛感させられます。そのことに関し、小林浩美日本女子プロゴルフ協会会長はこう胸を張ります。
「スポンサーやテレビ局の協力もあり、(日本女子プロゴルフ)選手権は三年前から世界ランキング上位の選手を招聘してアジアNo.1を決める大会にしようとやっています。実際に世界の選手と戦う日本選手のレベルの高さも見られたかなと思います。日本で世界の選手と戦っていれば、海外に行っても臆することなくやれるようになりますし、4日間の大会が増えることで戦い方も変わるし、慣れてもきます」(小林)
世界ランカーを招いての4日間競技。それはツアーの強化にもなるし、観ているほうも面白いのは間違いありません。この試合を三ヶ島かならと並んで4位タイでフィニッシュしたアン・ソンジュ選手はこう言います。
「私は前から日本ツアーのレベルは高くなっていると言っています。若い選手が頑張っているから、レベルも(さらに)どんどん上がって来ています。私たちの世代も負けないようにという気持ちもありますが、若い人たちについて行きたいという気持ちで頑張っています」(アン)
昨年を含む4度の賞金女王に輝くアン選手をして、「ついて行きたい」と言わしめる。その勢いが、今の若手にはあるようです。その変化を、小林会長はこう表現してくれました。
「昔はグリーン脇で見ていてもピンから遠いところに乗ることが多かった。最近はピンの根元にドンと来ます。世界は伸ばし合いのゴルフになっています。それにどんどんついていかないと。若い子たちのレベルが上がっているのはそういうゴルフに慣れてきているから。その上の世代は少し戸惑いがあるのかもしれません」(小林)
日本女子オープンをアマチュアで制したときの畑岡奈紗選手のゴルフは、まさにセカンドでドン! とくる衝撃的なものでしたが、それが彼女たちの世代のスタンダードとなっていることは、渋野日向子選手のゴルフを見てもわかります。まるで男子のような、ピンの根元に打ってくるゴルフ。ショット力を争うゴルフは、魅力的の一言でしょう。
女子ツアーの質的変化。元世界ランク1位の実力者たちが参戦したことで、そのことが鮮明に見えたように思います。