9番ボギーのあと、この日2度目の“バウンスバック”
渋野日向子選手の日本オープン、その初日が終わりました。前半を4バーディ、1ボギー、1ダブルボギーの1アンダーで終え、迎えた後半は4つのバーディに5つのパー。5アンダーは首位と3打差の7位タイと、上々のスタートです。
今日良かったのは、なんといってもショット。とくにティショットです。後半、ティショットがラフに行ったのは18番ホールだけ。飛距離もよく出ていました。しっかり飛ばしてフェアウェイから打てるので、セカンドショットもピンの根元にビタビタきていました。
今日のプレーを振り返ってみると、本人いわく6番ホールのダブルボギーは「あれはしょうがないね、とキャディさんと話していた」と気にしなかったそうですが、ティショットが飛びすぎて木の後ろにつけ、そこから寄せられなかった9番のボギーは納得がいかなかったようです。
渋野選手がすごいのは、6番ダボのあと7、8番とバーディを奪い、9番ボギーのあと10番、11番とバーディを奪えるところ。本当に、この“バウンスバック力”には舌を巻かざるを得ません。
10番は149ヤードから3メートルに寄せてバーディ。11番は86ヤードから「一足分くらい」に寄せたといい「26センチくらい?」と問われると「26.5センチです(笑)」と細かく修正。“しぶこ節”も冴えています。
この日は畑岡奈紗選手、そして元世界ランク1位のユ・ソヨン選手と同組。そのユ・ソヨン選手は随所でさすがというプレーを見せてくれました。圧巻だったのは17番ホール。左のピンを攻めて左に外したユ選手は、砲台グリーンの下からふわりと浮かせてカラーに落としてトロトロ転がし、エッジからすぐのピンに見事に寄せてきました。
渋野選手は、そのユ選手のアプローチをじーっと見つめていました。ホールアウト後に聞くと、「あの技術は私にはないと思いました。見て覚えます」とのこと。試合前に青木翔コーチに話を聞いた際にも、鍵を握るのはアプローチだと語ってくれていましたが、渋野選手にとっては試合の中も学びの場なんだなと、頼もしく思えました。
一方の畑岡奈紗選手も見事なプレー。本人いわく調子は良くなかったそうで、テークバックが思ったところに上げられなかったといいます。それを7番ホールでボールにほんのわずかに近く立つことで修正。そこからバーディを積み上げ、渋野選手と同じ5アンダーでホールアウトしました。この高い修正能力、調子が悪くてもスコアを作れるスコアメーク力はさすが、世界ランク6位。フィールドの最上位にふさわしいゴルフです。
渋野選手の組は、もちろん最も多くのギャラリーを引き連れていましたが、今日はコースにいたるところから「おおーっ!」という歓声が聞こえました。想定優勝スコアは20アンダー。そこに向けて、各選手が初日からピンの根元を果敢に狙うアグレッシブなゴルフを展開したことで、非常に高いレベルの“伸ばし合い”になっています。
ピンポジがやさしかったわけではありません。端のピンをアイアンで狙い撃ちする、ショットでバーディを奪ってスコアを伸ばさなければ勝てない時代へ、女子ゴルフは突入しているのです。
有力選手たちが多くリーダーボードの上位を占め、残り3日間1日も目が離せない展開になりそうです。明日の渋野選手たちのスタートは午前7時21分。明日も、じっくりとレポートしたいと思います。