ドライバーは小ぶりに。練習場では「ルックアップ」で調整
ケンジロウです。「シュライナーズホスピタルズforチルドレンオープン」最終日が終わって取材を終え、帰国途中の飛行機の中で書いております。
その最終日、松山英樹は65のスコアを出し、トータル16アンダーパー16位タイでフィニッシュしました。調子のいい状態で迎えたシーズン開幕だっただけに、この2週間の結果は本人も残念だったと思います。
実際に、練習日からこの一週間ずっと彼の練習とプレーを見てきましたが、球を打っては、当たりが悪くてうなだれるシーンが多く、納得のいく球がなかなか打てていない様子でした。
練習場ではかつてのアニカ・ソレンスタムのようにダウンスウィングから顔を飛球線に向けるような仕草で球を打つなどして、スウィング復調のきっかけをつかもうといろいろと試行錯誤していました。
試合が始まっても朝の練習場ではスウィング動画を撮ってスタートぎりぎりまでスウィングチェックをするような状態。特にドライバーを集中的に打ち込んでいましたね。
「アイアンも含めてスプーンまでは10回打って6回はいい球が打てるけど、ドライバーは10回打って1回いいのが出ればという感じ。今はその回数が増えていけばいいかな。スプーンとドライバーのスウィングを変えるつもりはないんだけど、変わっちゃう。スプーンの感覚でドライバーが打てれば精度は高いんだけど」
初日を終えたあと松山が話していたこの言葉がすべてを物語っていたと思います。世界屈指のアイアンマンである松山英樹にとって“ドライバーの精度を上げる”ことが、目下の課題。このオフにはある程度の手ごたえをつかんでいたのが、やはり試合が始まると“それ”ができなかったんでしょうね。
今シーズンからドライバーを少し小ぶりな「M5ツアー」に変えたのもドライバーをアイアンやスプーンのように振りたいという気持ちの表れかと思います。
「ずっと大きいヘッドを打っていましたけど何かズレているなと思っていたんです。ずっと知らないふりして打っていたのを、(M5ツアーを)試す機会があって使ってみたら良かったんで変えました」と本人もヘッドをサイズダウンした理由を話していました。
またシャフトもいろいろと試していて、セーフウェイオープンでは、TENSEIのブルーを使ったり、ツアーADのXCを使ったりしていましたが、シュライナーズではまたツアーADのDIに戻していましたね。
クラブもスウィングも“よりよいもの”を探すために常に改良を続けているんですね。最終日には浮上のきっかけを何かつかんだ様子でした。以下最終日のコメントです。
「今日はドライバーもだいぶ良かったと思います。自分が思ったよりはけっこう左に飛んでいましたが、まあ感覚としては悪くないので、それをこれからはどれだけ自分の狙ったところに近づけていくかが勝負だと思います」(松山)
どうやら3日目の夜に自分の昔の動画を見て、気づいたことがあったみたいなんです。
「昔の自分のスウィングを見て、どこが違うんだろうと比べてみて、ひとつきっかけがコレかなというのがあった」と松山。
その“コレ”の内容は教えてくれませんでしたが、確かに最終日は3日目とは別人のようでした。
「三週間やっていることが今日ちょっとしたきっかけで出た。結果につながったというのは収穫。それを継続してやりたい。今週つかんだものを次の3試合でやりたいです」(松山)
PGAツアーで5勝して、6年連続ツアー選手権に出場している世界トップクラスの選手であってもこれだけもがいている。もがきながらも前に進んでいる、そんな印象を受けた一週間でした。
このあとはCJカップ、ZOZOチャンピオンシップHSBCとアジアシリーズが続きますが、久々の優勝、期待してみていきたいですね。
写真/姉﨑正