金谷は世界アマチュアランク1位。米澤は64位
昨年の「アジアパシフィックアマ」優勝の権利でマスターズに出場し、見事予選を突破した現在21歳の金谷拓実。連覇を狙った今年の「アジアパシフィックアマ」では、初日に出遅れるも終わってみればプレーオフにまで残り、惜しくも優勝はできなかったがその強さは十分に見せてくれた。
昨年の日本オープンは24位でベストアマ。一昨年の2017年は優勝した池田勇太と1打差の2位と常に結果を残している。今大会も押しも押されぬベストアマ候補と言えるだろう。
一方の米澤蓮は、5月に開催された男子ツアー「アジアパシフィック ダイヤモンドカップ」の最終日を「68」の好スコアでプレーし、首位に1打差まで詰め寄り2位タイでフィニッシュしたのが印象的な20歳。世界アマチュアランクは64位で日本人3番手につけており、日本オープンの出場者に限れば、金谷、米澤がトップ2だ。
そんな二人がともに所属するナショナルチームのヘッドコーチを務めるガース・ジョーンズに彼らの強さの理由を聞くと、まずは金谷についてこんな答えが返ってきた。
「様々な国の、コンディションの大きく異なるコースでプレーしてきた経験が彼らを強くしています。(金谷)拓実は全英オープンや、マスターズでプレーすることで技術も上がっていますし、蓮も同様です。アジア(パシフィック)アマで、拓実は初日をイーブンパーでスタートし、トップとは9打差ありましたが、プレーオフにまで残りました。少し遅れを取っても日に日に上がって来られる強さがあります」(ジョーンズ)
米澤蓮の強さについても、ジョーンズは太鼓判を押す。
「オールラウンダーで、ドライバーも曲がらないし、拓実のように優れたコンペティター(競技者)で強い。それでいて性格はリラックスしていて、よく笑うし、マインドも強い。ショートゲームも上手い。あと2年ぐらいして飛距離も出てくるようになるともっと強くなるでしょう。英語もよく勉強しています。スウィングは非常にニュートラルな軌道で、直すようなところもとくにありません」(ジョーンズ)
準備を怠らないガース・ジョーンズのコーチングにより、ゲームプランも綿密だ。練習ラウンドではパットをせずにグリーンの傾斜を計測し、上りの真っすぐ、いわゆる「ゼロライン」を探してその位置をヤーデージブックに書き込む姿は手慣れたもの。
金谷拓実は体が徐々に大きくなって飛距離も伸び、アマチュアとは思えないような落ち着いてプレーする姿も印象的。難しいコースが好きだという米澤蓮は、ショートゲームの向上によって大叩きしなくなりスコアが安定してきていると話す。
会場の古賀GCはラフが深く、グリーンは小さく、ドライバーを打つ回数は1日2、3ホールではないかという緻密な先着が求められる難コース。マスターズや全英オープンを経験してきた金谷や、難しいコースが好きという米澤は、一昨年金谷が見せてくれたような、あわよくばアマチュア優勝も……という可能性も期待させてくれる。
「この大会で(金谷や米澤が)上位に入ったり、優勝しても驚かないですよ。難しいコースで我慢が求められるセッティングですし、ダメージコントロールも必要です。パー3も難しく、戦術的に考えないとならないです。天候にもよりますがイーブンパーの争いになるのでは」(ジョーンズ)
10年前に同コースで行われた大会では片山晋呉がフェアウェイキープに徹底しトータル1アンダーで優勝、2位には3オーバーで17歳の石川遼が入った。それから10年。迎え撃つ立場となった石川遼と、金谷や米澤といった次世代のエース候補たちが、どんな戦いを見せてくれるのか。
非常に楽しみな週末になりそうだ。