台風19号接近の影響で2日間競技となったブリヂストンオープンを制した今平周吾。165センチと小柄ながら平均飛距離は295ヤードと男子ツアーの平均以上。そのスウィングを、プロゴルファー・中村修が分析した。

身長165センチから繰り出される295ヤードスウィング

台風19号接近の影響で2日間36ホールでの決着となったブリヂストンオープンは、昨シーズンの賞金王・今平周吾選手の連覇で幕を閉じました。

画像: ブリヂストンオープン2連覇を果たした今平周吾(写真は2019年のKBCオーガスタ 撮影/姉崎正)

ブリヂストンオープン2連覇を果たした今平周吾(写真は2019年のKBCオーガスタ 撮影/姉崎正)

2位タイとのスコアはわずか1打差、11アンダーでの優勝でした。3日目、4日目があればたしかに他の選手にもチャンスがあったかもしれません。しかし「たられば」を語るよりも、何より最初の2日間でしっかりと結果を出したスウィングを評価するべきでしょう。

今平選手は身長165センチと小柄ですが、今年のデータを見ると平均飛距離は295.18ヤード、フェアウェイキープ率57.41%と、飛距離を出しながらも高い精度で飛ばすドライバーショットが武器と言えるでしょう。

今平選手が小柄ながら飛ばせるのは「回転力」を最大限活かしているから。バックスウィング(写真A)を見ると、早い段階で背中がターゲット方向に向いていることが分かります。上半身を深く回転させねじることで、ダウンスウィング時にスピードを出すための“助走”が取られているわけです。

画像: (写真A)バックスウィングの早い段階で、背中がターゲット方向に向くほど上半身が回転している(写真は2019年のセガサミーカップ 撮影/岡沢裕行)

(写真A)バックスウィングの早い段階で、背中がターゲット方向に向くほど上半身が回転している(写真は2019年のセガサミーカップ 撮影/岡沢裕行)

バックスウィングでは、下半身は上半身に引っ張られて自然な形で回っていますが、ダウンスウィングでは下半身リード(写真B)。上半身を巻き戻してインパクトへ向かっていきます。

画像: (写真B)切り返しからダウンスウィングでは一転して下半身リード(写真は2019年のセガサミーカップ 撮影/岡沢裕行)

(写真B)切り返しからダウンスウィングでは一転して下半身リード(写真は2019年のセガサミーカップ 撮影/岡沢裕行)

ここで注目したいのが、インパクト時の左わき(写真C)。胸にくっつけるように締めず、開いた形ですよね。もし左腕が胸に乗ったままの形だと体の左サイドに力が入らず、弱いインパクトになってしまうんです。今平選手は元々左利きなこともあってか、力の入れ方が非常に素晴らしいです。

画像: (写真C)左わきを開くことで、力強くインパクトする(写真は2019年のセガサミーカップ 撮影/岡沢裕行)

(写真C)左わきを開くことで、力強くインパクトする(写真は2019年のセガサミーカップ 撮影/岡沢裕行)

もうひとつ、左ひざを見ると、インパクト時でも少し曲がっていることが分かります。これは多くのプロが採り入れる縦方向の力、地面反力をあまり使わず、体の回転力(トルク)でしっかり打っている証拠です。

フォローでの帽子のつばに注目してみてください(写真D)。両腕は時計の針でいうところの2時方向程度まで振り切っていますが、頭の位置はインパクトからほぼ変わらないまま。回転するための体の軸がしっかり作れていて、しかもブレていないわけです。だからスピードを上げて、さらに方向性にも優れたショットが打てるわけです。

画像: (写真D)インパクトからフォローまで、頭の向きはほぼ変わらずに振り切っている(写真は2019年のセガサミーカップ 撮影/岡沢裕行)

(写真D)インパクトからフォローまで、頭の向きはほぼ変わらずに振り切っている(写真は2019年のセガサミーカップ 撮影/岡沢裕行)

フィニッシュでは右肩がターゲットを指すくらい回しきっていることからも(写真E)、やはり回転力で飛ばすスウィングだということが伺えます。

画像: (写真E)フィニッシュ時、右肩はターゲット方向を向いている(写真は2019年のセガサミーカップ 撮影/岡沢裕行)

(写真E)フィニッシュ時、右肩はターゲット方向を向いている(写真は2019年のセガサミーカップ 撮影/岡沢裕行)

思えば、昨年もブリヂストンオープン優勝からギアを上げ、賞金王への道を突き進んだ今平選手。現在賞金ランク1位に位置していますが、今年復調を遂げた石川遼選手が約400万円差で賞金ランク2位と、かなり僅差です。この争いに大きな動きをもたらす可能性のあるビッグイベント「ZOZO選手権」も間近に迫った今、ますます目が離せない展開が続きそうです。

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