下半身の回転を活かしたスウィング
今週末開催となる日本オープンには、昨年に引き続きアダム・スコット選手が出場します。主戦場であるPGAツアーのスケジュールが変更され既に開幕している最中、自身5度目となる参戦です。
2013年マスターズ覇者であり、現在世界ランクは17位の実力者。日本オープン練習日の本日はインコース9ホールの練習ラウンドについて回りましたが、ショットの調子は上々のようです。
アダム選手のスウィングの特徴は下半身をしっかりと使っている点です。バックスウィングで左ひざが前方に折れ曲がっていることからも、下半身を固定しすぎていないことが分かります(写真A)。
ダウンスウィングも下半身主導。インパクトではおへそがターゲット方向を向くほどです。そんな下半身の回転につられて上半身が動き、腕が動き、クラブが動く。いわゆるキネッティックシークエンス(運動連鎖)がとてもスムーズに行われています。その結果インパクトゾーンでは手元が低く降りて入射角が浅くなるため、ボールへのコンタクトも非常に安定しています(写真B)。
もう一点、インパクト前後のフェースの向きを見ると、しっかりフェースの開閉が行われていることが分かります。これは手先の操作ではなく、あくまで体の回転によって生まれるもの。インパクトは通過点であり、フィニッシュに向かって振り抜いていくようなスウィングと言えます。
フォローからフィニッシュまでの右肩の動きを見ても、しっかりとターゲット方向へ向くように上半身が回転していることが分かります(写真C)。手先で打とうとするとこうはならないはず。これも下半身の回転が上半身に伝わった結果の動きです。だからこそ、インパクトを作らずにスウィングの中でボールを捉えることができているんです。
しかし、今年のコースはなかなかのクセモノです。アダム選手の練習ラウンドに付いていきながらコースのコンディションもチェックしていましたが、今年の会場である古賀ゴルフ・クラブのセッティングは非常にタフ。フェアウェイは狭くはないものの、ラフが深く、グリーンは固くとても速い。実際にアダム選手も練習ラウンドのティショットでドライバーを選択したのはわずか2回で、アイアンを持つホールが多かったです。
アダム選手本人もこういいます。
「なかなかタフなセッティングで、日本でも有数の難コースなんじゃないでしょうか。グリーンの仕上がりもいいし、ラフから打つと難しい。特に17番パー3は距離も長く、グリーンの奥行きも短くて難しいホールですね。今週はフェアウェイからグリーンを狙うショットが特に重要になります。自分のベストを尽くして、いいプレーを見せられるといいですね」
とはいえ、アイアンショットも2回打ったドライバーもフェアウェイをしっかりと捉えていて、タフなコンディションのコースをしっかり攻略できているように見えました。主戦場のPGAツアーとは違ったマネジメントを求められると思いますが、活躍が期待できそうです。
翌週開催のZOZO選手権にも出場を表明しているアダム選手。2週連続でトッププレーヤーのゴルフを見ることができるのは非常に貴重なので、会場で、テレビの前で、たっぷりと楽しんでいただきたいですね。