「私は普通の日用と風の強い日用で、2つの高さを使い分けていて、親指の関節で覚えています」(高橋)
そう教えてくれたのは黄金世代の高橋彩華。実際に見せてもらうと、「風の強い日用」は親指の第一関節が折れていて、気持ち低くなっていた。もちろん選手によってティアップの仕方は違う。高橋が親指で調整するのに対し、勝みなみは小指だと話す。
「私は小指で高さを調整しています。私は元々小指曲がっているので指先が芝に触れたらOKっていう感じにしてます」(勝)
高さを調整する指は違えど、自分の高さが決まっていた高橋と勝とは異なり、“感覚派”という淺井咲希はこう話す。
「私めっちゃ適当です(笑)。打った後、今めっちゃ高かったわ~って思うことありますもん。結構毎回変えるんですよ、なのであんまり高さにこだわらないようにしています」(淺井)
普段から高めのティアップをしている淺井だが打ちたい球によってティの高さを変えることが多く、意図的に毎回高さを変えているようだ。他に“感覚派”と答えたのは山路晶、吉本ひかるの2選手。選手によってティアップの高さを「決める派」と「決めない派」がいることがわかる。
ティアップといえば、高さのみならずどこにティアップするかも重要。左に打ちたければ右、右に打ちたければ左にティアップするのがセオリーとされるが……高橋はこう語る。
「景色的に構えやすいところでティアップするようにしています。右に打ちたいからといって左に立つわけじゃなくて、景色的に右に立ったほうが右に打ちやすいときもあるんですよね」(高橋)
ティの高さが“感覚派”の山路晶は、ティアップの位置でイヤな景色を消すという。「(右がイヤなら右、左がイヤなら左というように)イヤな景色側に立って、対角線に狙います」という。
また吉本ひかるは“景色”ではなく“風”を意識して対角線にティアップするという「私は景色より風によって変えます。たとえば右からのアゲンストとかだったら右から構えて対角線で打っていきます」(吉本)
一方、ティの高さは「決める派」の勝は、ティアップの位置に関してはフィーリング重視のようだ。
「結構右側に立つことが多いですね。右から左に打ちたいタイプなので、ちょっとイヤな景色のときは右に立ちますね」(勝)
ということで、選手によってまったく違うティアップへのこだわりがみえた。ただアマチュアのように「つねになんとなく真ん中にティアップする」というプロはいなかった。またティの高さもつねに一定でないとしても、なんらかのこだわりや基準をプロたちは持っている。
たかがティアップ。されどティアップ。みなさんも自分なりのこだわりを探してみてはどうだろう。
取材大会/スタンレーレディス、富士通レディース 撮影/増田保雄、小林司