「日本オープン」で最終日の13番まで終始ゲームをリードしいていた塩見好輝。その後スコアを崩し初優勝はならなかったが、今後に期待を抱かせてくれた。見る人に強い印象を残した、ケレン味なく振り切るスウィングをプロゴルファー・中村修が解説。

下半身の回転+フェースローテーションで飛ぶフェードを打つ

国内最高峰のトーナメント「日本オープン」の第2ラウンドでトップに立つと、第3ラウンドでも首位をキープ。ファイナルラウンドでも13番まで首位の座を守り続けた塩見好輝選手。その後、スコアを崩す姿からはゴルフの怖さ、勝負の厳しさを感じさせられましたが、今回の悔しい経験は必ず次につながると思います。

画像: 日本オープンでは2日目からサンデーバックナインまで首位の座を守り続けた塩見好輝(写真は2019年の日本ゴルフツアー選手権 撮影/姉崎正)

日本オープンでは2日目からサンデーバックナインまで首位の座を守り続けた塩見好輝(写真は2019年の日本ゴルフツアー選手権 撮影/姉崎正)

まだ29歳。ゴルファーとして脂が乗り切る30代での活躍を大いに期待したいと思いますし、今シーズン屈指の難コンディションだった古賀ゴルフ・クラブでのセカンドラウンド「67」は今大会ベストタイのスコア。勝てはしませんでしたが、名前の通りの輝きは見せてくれました。

イケメンで、活躍すれば女性人気も出るはずの塩見選手。172センチ65キロのスリムな体格で約290ヤードを飛ばす、そのスウィングを分析していきたいと思います。

オーソドックスなスクェアグリップでトップでのフェースの向きはやや閉じたシャットフェース(写真A)。バックスウィングでは右への重心の移動は少なく、骨盤を自然に回転させ無理なく深いトップが取れています。

画像: 写真A:バックスウィングでは重心移動は少なく、骨盤を自然に回転させることで、深いトップをとる

写真A:バックスウィングでは重心移動は少なく、骨盤を自然に回転させることで、深いトップをとる

切り返しは左への移動は少なく右サイドに加重を残したままその場で下半身を切っていきます(写真B)。トップから腕が体に沿って落下し、手元が低いポジションへと降りていますが、これは左肩が上がっていないから。切り返しで左肩が上がると体が右へ傾きタメもほどけてしまいます。体の軸を傾け過ぎずに、しっかりとした回転でスウィングスピードを上げています。

画像: 写真B:切り返しでも重心移動は少なく、その場で下半身を切っていく

写真B:切り返しでも重心移動は少なく、その場で下半身を切っていく

インパクト前後の動きを見ると、下半身の回転で得たエネルギーをクラブに上手に伝えていることがわかります(写真C)。地面反力は大きく使ってはおらず、あくまでも回転エネルギーがスウィングのメインエンジン。そこにプラスしてフェースをやや開閉させながらボールをつかまえて、持ち球のフェードボールを打っています。

画像: 写真C:地面反力は大きく使わず“回転エネルギー”とフェースローテーションで飛ばす

写真C:地面反力は大きく使わず“回転エネルギー”とフェースローテーションで飛ばす

日本オープンではショットもさることながら、パッティングも非常に好調でした。私は練習日に18ホールを歩き、コースを見てきましたが、グリーンは硬く速く、触わるだけでグリーンから出てしまうような印象でした。雨が降って多少柔らかくなりましたが、それでもスピードは出ていました。

その中で厳しいパーパットを決め続ける姿は非常に頼もしかった。持てるポテンシャルを発揮し残り試合の活躍を期待しています。

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