「いま大事にしていることは、自分ができないことを把握すること」
明治大学和泉キャンパスのゴルフ練習場で行われたこのイベント。タイガーは、実際に球を打ちながら司会者からの質問に答えるというサービス精神を見せてくれた。
ーー普段、どのような練習をどれくらいされるんですか?(司会者)
「ちょっと背中の調子が悪かったりするので、毎日練習はできないんだ。その代わり短い時間できっちり集中して練習するように心がけているよ」(タイガー)
ーー感覚と実際のスウィングが一致したときが一番調子が良いと、以前仰っていましたが、いまもそうなのでしょうか?
「いま大事にしていることは、自分ができないことを把握することだね。昔に比べたら、力も弱くなってきて回転が遅くなってきている。自分の現状を把握したうえで、いままで通りの飛距離やコントロール性を維持するための練習法を考えているよ」
ーーここは距離のない短い練習場ですが、いま何を意識して練習しているんですか?
「どれだけ強く打とうとも、コントロールショットであろうとも、絶対にフェースの中心に当てることを意識しているよ。それは自分の息子とラウンドするときだってそうさ。これは父からずっといわれていたことなんだ。父からは『どれだけパワーヒッターになってもいい。どれだけ力んでもいい。だけどバランスを崩さないでフェースの真ん中に当てることだけは無視しちゃいけないよ』ときつく教えられたね」
普段なかなか聞くことができないスーパースターの考え方を、イベント参加者たちは固唾をのんで聞き入っていた。ちなみに司会者からは最後にこんな質問も。
ーーすごくドライバーで距離を出しますよね。距離を出して、しかもドライバーをコントロール方法はあるんですか?
「いや、僕もまだ努力中だよ(笑)」
最後に少しお茶目な一面も見せたタイガー。自分に何ができないかを把握し、短い時間で集中して、フェースの中心でボールをとらえ、1ヤードでも先に正確に飛ばせるように努力する。スーパースターの練習哲学は、非常にシンプルで、だからこそ深く考えさせるものだった。
ゴルフ界の生きる伝説が久しぶりに戦う日本での試合は、今日始まったばかりだ。