下半身も動かしてオッケー
こんにちは、“フジモンティ”こと、ツアープロコーチの藤本敏雪です。いま、アメリカで人気のティーチングプロであるジョージ・ガンカスが提唱するゴルフメソッドとはどういうスウィング理論なのか。それを今回から3回に渡って、詳しく解説していきたいと思います。
従来のスウィング理論では、「下半身はあまり動かさずに固めて、上半身を深くねじっていく」というのが、バックスウィングにおけるセオリーと言われてきましたよね。実際、ボク自身もずっとそう教わってきました。
もちろん、それも決して間違いではないのですが、下半身を固めた状態で上半身を深くねじるには、かなりの体の柔軟性が必要になります。たとえば、ジュニアゴルファーのように若くて柔軟性が高ければ、そのほうが体がゆるまず、大きな飛ばしのパワーを生み出すことができるでしょう。
でも、一般のアマチュアゴルファーはどうでしょうか。ジュニアのような柔軟性はありませんし、年齢とともに柔軟性がより低下してきて、体のねん転量が不足すれば飛距離は落ちてしまいます。また、アマチュアの方は下半身を固めて、上半身だけをねじろうとしても、手先だけでクラブを上げてしまい、ほとんど上半身がねじれていないことが多いんです。あまり大きく体を動かしてしまうと、上手く当たらないんじゃないかという不安も、アマチュアの方にはありますよね。
GGスウィングの基本的な理論としては、「下半身を固めて、上半身をねじる」という考え方はしません。バックスウィングでは、バランスが保てる範囲内で腰や骨盤もしっかり回転させていきます。バックスウィングで右足の内側がめくれてスウェイしてしまったり、かかと側に体重が乗りすぎて、右足つま先がめくれてしまうのはNGですが、そうならない範囲内であれば、腰や骨盤も積極的に回転させてOKなんです。
体が硬い人やシニア世代の人など、バックスウィングで体が回りにくい人は、左ひざの向きが変わって、内側に入ったり、左足のかかとをヒールアップしてもOK。積極的に下半身を回していくことで、上半身を大きくねじることができ、より大きなパワーを生み出すことができる、という考え方です。
たとえば、世界トップレベルのドラコン選手などは、トップで上半身を90度どころか、120度ぐらい深くねじっています。かといって、決して腰を正面に向けたまま、下半身を固定したりはしていません。トップで左ひざが目標と反対を向いていたり、左かかとを大きくヒールアップしている選手もいます。バックスウィングの体の回転量が大きくなれば、ダウンスウィングからインパクト、そしてフィニッシュへと、体を回し戻す回転量も大きくなり、回転のスピードもアップします。
従来はインパクトでは腰が45度ぐらい先行して開き、胸は正面を向いているのが理想とされていましたよね。でも、最新のPGAツアーの、トップ選手のデータによると、多くのプロがインパクトでは胸が30度ぐらい開いているんです。インパクトで上半身が開くと、クラブが振り遅れてしまうと思うかもしれませんが、バックスウィングで下半身を積極的に動かし、上半身のねじれ(あるいは回転量)を大きくすることで、スクェアに戻すタイミングを合わせることができるんです。
それにインパクトでは少し上半身が開いていたほうが、ボールを強く押し込むことができます。たとえば、右手1本で何か重いものを右から左に押そうとしたとき、胸が正面を向いていて、右腕が伸び切った状態では、強い力で押せないですよね。胸が左に開いていて、右ひじが伸び切らずに体に密着した状態が、いちばん力強く押せるはずです。
ボクシングのパンチだって、相手に当たる瞬間にひじが伸び切っていたら、強いパンチは打てませんよね。ゴルフのスウィングも同じです。インパクトの後にグッと右ひじが伸びるから、ボールを強く押し込むことができて、それが飛ばしのパワーになるんです。
今回はジョージ・ガンカス・ゴルフの基本的な考え方を解説しましたが、次回からは実際にどのような動きでスウィングすればいいのか。より具体的に説明していきましょう。
協力/Five elements