強い選手が入ってくれば全体のレベルが上がる
強い選手が入ってくれば、それだけ優勝争いも、シード権争いも熾烈になる。来年のツアー出場権をかけ奮闘中の臼井麗香(三菱電機レディス開幕前の賞金ランク57位)は「また(競争が)厳しくなりますね。よく知ってますよ。だって、強いですもん(笑)」と苦笑いを浮かべる。
ただ、だからといって新世代の台頭を歓迎していないわけではない。賞金ランキング21位ですでに来季の賞金シード権を確実にしている高橋彩華は言う。
「彼女が入ってきてまた、全体のレベルが上がる。みんなが上手い世界なので、またみんなの練習量が増える。もちろん私もそこについていく。そうなれば、みんなが強くなる。その結果、ファンの方々が、レベルアップしたツアーをさらに好きになってもらえる。新しいファンも来てくださる。そうなったことで、試合数も増えるかもしれない。いいこと尽くめじゃないですか(笑)?」(高橋)
ツアー全体のレベルが高まることでツアー自体が活性化し、より盛り上がる。だからこそ“歓迎”だというわけだ。強い選手が来るならば、自分がもっと強くなればいいというメンタリティは実に勝負師的だ。
自分の名を世に知らしめるチャンス
古江の参戦に‟危機感“を口にした臼井にしても、強い選手と戦うことは、自らの名をあげる絶好の機会ととらえている。
「私なんかこの前の『ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン』でしぶこ(渋野日向子)と一緒に回ったときに、ギャラリーさんから『あの人、誰?』って言われましたもん(笑)。名前を憶えてもらうためには、結果しかない。それも、たくさんのみなさんに覚えてもらうためには『強い』相手に勝つ。そこに年上、年下とかはないですよね」(臼井)
「まだプロで1勝目もしてしていない私が言うのも、おかしいかもしれませんが、私が勝つのであればそれこそ、彼女(古江)と優勝争いをしてその結果‟勝ちたい“というぐらい。ツアーでの目標がまたひとつ増えたというような感じですかね」(高橋)
古江らプラチナ世代は黄金世代にとって2学年下。当然ながら、ジュニア時代は同じ舞台で戦った仲だけに、その実力はよく知っている。実力を認めるからこそ、「負けられない!」となおさら闘志を燃やしているようだ。
黄金世代が大活躍して盛り上がる女子ツアー。そこにプラチナ世代が参入してくることで、さらなる化学変化が起こるかもしれない。