最長飛距離399ヤード! いったいなんでそんなに飛ばせる?
1991年のプロ転向後レギュラーツアー通算2勝を挙げ、51歳と年齢を重ねた現在もシニアツアーで活躍を続ける小達敏昭。レギュラーツアーで活躍しているころは誰もがお手本にしたくなる美しいスウィングで飛ばしていたが、30代後半から始めたドラコン競技でさらに飛ばしに磨きがかかった。
小達の最長飛距離はなんと、399ヤード。目の前でその弾道を見ると、ZOZOチャンピオンシップでロリー・マキロイやジェイソン・デイら海外選手が見せた高く落ちてこない弾道を再現するかのように、遥か遠くのフェアウェイに着弾する。このスウィングスピードと迫力の弾道は一見の価値ありだ。
そんな小達が、今週開催のシニアツアー「富士フィルムシニアチャンピオンシップ」のイベントで、飛ばしの秘訣を披露してくれた。
ボールは左足の前
通常、ドライバーショットでのボール位置は左足かかと線上がセオリー。しかし、小達はそれよりもう少し左、だいたい左足前くらいにセットするという。
「左足かかと線上よりももう少し左に置くことで、スムーズにアッパー軌道でボールをとらえることができます」(小達)
背骨をほんの少し傾ける
飛距離が出る弾道の条件である高打ち出し角、低スピン。これを実現するためにはわずかなアッパー軌道で振ることが大事。アッパーでボールをとらえるためにはボール位置だけでなく、背骨の角度にもポイントがあるという。
「アドレスで背骨をほんの少し傾けて構えることをお勧めします。こうすることで、自然とインサイドからボールをとらえられるようになりますし、上から打ち込んでしまったり体が突っ込むことを防げます」(小達)
パワーは右のお尻で溜める
飛ばそうとするとテークバックでしっかり体重移動を行おうとするあまりスウェイしてしまい、かえってスウィングの安定性を欠いてしまうもの。それを防ぐためのポイントは「右のお尻」にある。
「ダウンスウィングでは右のお尻にしっかりとパワーを溜めることが大事。肩を回そうとか、ねじろうとするよりも、右のお尻にパワーを溜める意識を持つと肩も回るし上半身も力まずに深くバックスウィングできます」(小達)
インパクトでは体を傾けすぎない
高い弾道を打とうとするとインパクトで体を右に傾けてしまいがち。しかし、インパクト時にはアドレスと同じ角度を保つことが大事だと小達。
「インパクトはアドレスの再現と言われますが、ポイントは背骨の傾きです。アドレスで作った傾きをキープすることでビハインド・ザ・ボールの状態でボールにしっかり力が加えらえられますし、イメージした弾道を再現することができます」(小達)
フォローではフェースを返す
飛距離を伸ばすためにはインパクト前後でフェースの開閉をしっかり行うのが望ましい(=ローテーションスウィング)とされてきたが、最近ではフェースを返さないシャットスウィングを採り入れるプロゴルファーも増えてきた。
はたしてアマチュアにはどちらのスウィングタイプが合っているのか。フェースを返す返さない論争がある中で、小達プロはしっかりフェースを返すことを勧めてくれた。
「フォローでフェースを返す意識を持つとヘッドを走らせることができますし、インパクトでスクェアにフェースが戻ってきます。しっかりボールをつかまえられるので右にすっぽ抜けたり、飛ばないスライスから卒業できますよ」(小達)
トーナメントが開催される林間コース「江戸崎カントリー倶楽部」をラウンドする小達に同行させてもらい、実際に飛距離を計測してみると、高い木の上をはるかに超える高弾道でざっと320ヤード以上はコンスタントに飛ばしていた。
「富士フィルムシニアチャンピオンシップ」は総飛距離7070ヤード、パー72と距離の長いセッティング。シニアツアーでは珍しい450ヤードを越えるパー4が4ホールもある。それでも小達はドライバーを使わないホールもあるんだとか。ロフト16度の0番アイアンで280ヤードは飛ばしていたからそれも納得のマネジメントだ。
円熟の技術を見せてくれるシニアプロのプレーぶりは我々アマチュアゴルファーが大いに参考にできるし、気軽に声をかけられる雰囲気もシニアツアーならでは。とくにシニア選手とは到底思えない小達敏昭の迫力あるスウィングと弾道は、是非会場で見てもらいたい。