勝てば世界への扉が開くビッグマッチ
今週日本での開催となる米女子ツアー「TOTOジャパンクラシック」。世界で戦う選手43名に加え、日本女子ツアーの賞金ランク35位までの選手も出場できます。
国内から参戦するメンバーを見てみると、35名中11名が1998年度生まれの“黄金世代”と呼ばれる若手選手たちです。米女子ツアー選手として参加する畑岡奈紗選手も黄金世代の1人ですよね。
まず賞金ランク上位に若手がこれだけ入っているということが、改めて驚きです。若手にしてみれば、間近で見たり一緒に回る機会がそうそうない世界の選手たちが自分たちのフィールドに来てくれて、しかも勝つことができれば米女子ツアーへの道も広がってくる。チャンスもあるしすごくいい経験もできる試合だと思います。
さて、現在日本女子ツアーではシーズンも終盤となり、渋野日向子選手、シン・ジエ選手、鈴木愛選手の3名による賞金女王争いが繰り広げられています。優勝賞金2475万円(1ドル110円換算)と高額で重要な1戦。練習日の様子を見ていると各選手それぞれ調整に余念がないようです。
鈴木選手が行っていたのは、スティックを両腕と体で挟み、バックスイングをせずにフォローだけでボールを押し出していくパット練習(写真A)。
最近パターをピンのレディースモデル「G Le2エコー」に替えたことで姿勢が良くなり、しっかりボールを押して転がせるようになったようです。パターの変化ももちろんですが、こういった日々の努力が積み重なった結果が先週の「樋口久子 三菱電機レディスゴルフトーナメント」優勝と言えるでしょう。今週も活躍を期待したいですね。
シン・ジエは「スパイダーX」で高速グリーン攻略へ
鈴木選手と同様、最近パターを替えたのがシン・ジエ選手。選んだのは、テーラーメイド「スパイダーX」です。シン・ジエ選手のバッグを担ぐ斎藤優希キャディに話を聞いたところ「今週はグリーンのスピードがとくに速いので、あまり飛びすぎないパターがいい。今週はスパイダーXで行く予定です」とのことです。
練習日で見ていてとくに印象的だったのが、米女子ツアーのレポーターの質問にシン・ジエ選手が流暢な英語で対応していたことです。かつて米ツアー賞金女王となり、世界ランク1位の称号を手にしたこともあるシン・ジエ選手。母国語だけでなく日本語も話せて英語も堪能、言語の壁がないという点も、“世界のプレーヤー”なんだなと改めて感じさせられました。
渋野はアプローチ練習に余念なし
先週の米女子ツアー「スウィンギングスカートLPGA台湾選手権」に続き、世界の選手たちと戦うことになるのが、渋野日向子選手です。今日は原英莉花選手と2人でインコース9ホールをラウンドしていましたが、その中で入念に行っていたのがアプローチです。
開催コースである瀬田ゴルフコースは砲台グリーンが多いため、ピンを攻めていく渋野選手からすれば外したときに高く上げて止める難しいアプローチを余儀なくされるためでしょう。台湾での実戦で習得したふわっと柔らかいアプローチが、今週の試合でどう活きるのか楽しみですね。
畑岡奈紗に死角なし!?
この3人の賞金女王争いに入ってくるのが昨年の優勝者、畑岡奈紗選手です。先週の台湾での試合をスキップし、今週は体調も良い状態なので、上位に顔を出すに違いないでしょう。
総飛距離6659ヤードと距離が長めの設定になっていることも畑岡選手にとっては追い風です。たとえばシン・ジエ選手だとセカンドでFWやUTを持たされるようなホールでも、飛距離の出る畑岡選手ならアイアンを持てる、という場面も数多くあるはずです。飛距離の出る畑岡選手にとって優位にゲームを進められるセッティングと言えるでしょう。連覇に期待がかかります。
もちろんこれらの注目選手に加えて、先週の台湾での試合で2位タイとなったミンジー・リー選手や、全米女子オープンを制したイ・ジョンウン6選手、同大会2位タイのユ・ソヨン選手やレクシー・トンプソン選手らも出場します。日本の選手たち、そして米女子ツアーのメンバーたちがどんな戦いを見せてくれるのか、非常に楽しみな3日間になりそうです。