試合は鈴木愛が制し、渋野は賞金ランク3位に後退
TOTOジャパンクラシックの最終日。渋野選手は2日目を終えて6アンダー。7位タイという好ポジションではありますが、トップを独走する鈴木愛選手とは6打の差でのスタート。逆転優勝の可能性もあるとはいえ、できる限りスコアを伸ばし、1つでも上の順位でフィニッシュすることがより優先される最終日です。
今日の渋野選手は中国のヤン・ジン選手と、今年のオーガスタ女子アマで優勝してプロ転向したアメリカの新星ジェニファー・クプチョ選手とのペアリングで、最終組の3つ前の組でスタートしました。
渋野選手はスタートホールでバーディを奪うものの、その後は4番でボギーを叩いて流れに乗れず、
前半は2バーディ2ボギーのイーブンパー。前半を4バーディの32で回って首位を盤石にした鈴木選手に突き放され、前半だけで5つのバーディを奪ったクプチョ選手や3バーディ1ダブルボギーのヤン選手ら同組の選手からもジリジリと置いて行かれる苦しい展開でした。
後半も出だしの10番でボギー。14番でチップインバーディを奪うものの続く15番でボギーと、やはり流れに乗れないストレスの溜まるゴルフでした。しかし17番のパー5で2打目を5Wで2オンさせてバーディを奪うと、最終18番もグリーン奥からの難しいバーディパットを決めて2連続バーディでのフィニッシュ。なんとか5バーディ4ボギーの1アンダーでスコアをまとめました。
3日間のトータルでは7アンダーの13位タイ。40位タイと奮わなかった申ジエ選手との賞金差は縮まりましたが、2週連続優勝を果たした鈴木選手に賞金額を抜かれ、賞金女王争いでは3位に後退する形となりました。
私は10月の日本女子オープンからから渋野選手のプレーを毎週全ラウンドをこの目で見てきましたが、今日の渋野選手は、いままで見たなかでアイアンショットがいちばん乱れていたように感じました。
実は昨日のプレーから少しその兆候は現れており、インタビューでも「少しインパクトを怖がっていた」とのコメントもあったのですが、昨日の段階ではまだグリーンを外すような乱れではなかったので翌日には解消しているかな、という程度のものでした。
しかし今日は普段の渋野選手の方向性のよいショットは影を潜め、思う方向に飛ばせずにかなり苦しいラウンドになりました。元々インパクト付近で体が起きるクセがありましたので、大きな問題ではなく微小な調整で取り戻せるものだと考えます。渋野選手の最大の強みである思い切りのいい振り抜きを取り戻せるように来週までに青木翔コーチとしっかり修正して来ることでしょう。
一方で今週の渋野選手には、パッティングに復調の兆しが見えました。とくに最終18番で切れる下りのラインに乗せて真ん中から沈めたパットはお見事。壁ドンのいわゆる「しぶこタッチ」とは違い、曲がるロングパットをラインに乗せてカップインさせる難しいバーディパットでした。
渋野選手は、2週前のマスターズGCレディースから新しいパターを投入しています。形状は以前のものと同じピン型ですが、こちらはヘッドカラーが黒。もともとは台湾に持って行くためのスペア用として用意したものをそのまま使っているようですが、実はこのパター、以前のエースパターよりもライ角が若干フラットなまま使っていたそうです。
先週の台湾での試合でパッティングが冴えなかったのはそのせいかもしれないということで、今週はライ角を調整して使用。その効果もありパットは復調してきました。
今週の鈴木選手の優勝で、賞金女王争いは三つ巴の様相を呈し、さらに大混戦になってきました。
残り3戦、非常にシビアな戦いが予想されますがツアールーキーの渋野選手がどこまでやれるか、楽しみに見守っていきたいと思います。