原英莉花が生涯獲得賞金総額1億円突破を目前に苦しんでいる。「伊藤園レディス」は2オーバーの72位タイで今季9度目の予選落ち。現状を本人に聞いた。

「生涯獲得賞金1億円突破」を前に10試合以上続く‟足踏み”

6月の「リゾートトラスト レディス」でプロ初優勝も飾り、9月の「日本女子プロゴルフ選手権 コニカミノルタ杯」以降「優勝なら生涯獲得賞金総額も1億円突破」の状況だった原英莉花。その後、大台突破を目前にして10試合以上を続く足踏みに、本人ももがいていることを認める。

「『この大会で優勝すれば1億円』と初めて声をかけて頂いてから、長引いているな、と感じています。でも、いつか破れる壁と思っているので、その次の1億円を達成するときには、この経験が生きるはずと思って今はプレーを続けていますね」(原、以下同)

そんな原は「円」という少し直接的すぎる聞こえる響きを、自分風にアレンジしている。

「ある時から『賞金』は『ポイント』と考えるようになりました。言葉的にそのほうが、ドカンと増やすというより、地道にコツコツという感じが出て、プレーにいい影響がありそうですしね。1億円突破は1億ポイント(笑)!達成できればもちろん、嬉しいです!」

画像: プロ初勝利を達成後、原英莉花は師匠の‟予言”通り「2勝目」の壁にぶち当たり、打破すべく奮闘を続けている

プロ初勝利を達成後、原英莉花は師匠の‟予言”通り「2勝目」の壁にぶち当たり、打破すべく奮闘を続けている

苦しんでいる1億円の壁は同時に、2勝目を挙げることの難しさともリンクした。初優勝時、師匠のジャンボ・尾崎将司から「1勝は誰でもできる。難しいのは2勝目。2勝目をいかにはやくあげられるかだ」とお祝い代わりのゲキをもらった。

「とても痛感しています(苦笑)」

現在は、師匠から頂戴した言葉の意味を噛みしめる機会も多いという。

「2勝目も、もうちょっとスッと行ける、という気持ちは正直ありました」

ターニングポイントは自身が優勝した6月最終週の「アース・モンダミンカップ」。最終日最終組で首位のシン・ジエを3打差で追い、一時は1打差に。だが、終盤に崩れ、最終的には優勝したシン・ジエに3打差をつけられ、結局は2位タイ。V2は‟お預け“となった。

「ゴルフって何があるか分からない競技ですが、運や流れを手放さないことが、本当に大事。勝負所は最後に来ると自分でも分かっていた。そこでうまくスコアを伸ばせなかった。そこで勝負できる選手にならないといけない。周りからも『後半のアイツはヤバいぞ』と言われるぐらいにならないと」

ダメな自分を「受け入れられるようになりました」(原)

予選落ちする試合も増えるなか、精神的に‟キレない“ことを心がけている。

「去年はうまくいかなくなると『あ~もう、いいや』って、自分でその状態を認められなかったんですけど、今は『もう、やめたいな』と思うときほど『何か見つけられないか?』と思ってゴルフをしています。やっぱり、腐ってもいいことなんかないんですよ。どんなに悪いスコアでも最後までやり切っていれば、途中で立ち直るための何かを得られるかもしれない。それが優勝につながる何かだったりもするかもしれないと。これは私が今年、成長したところですね(笑)」

画像: 年間を通じてある好不調の波に苦しみながらも、昨年にはないメンタル面での‟成長”は自らも実感している

年間を通じてある好不調の波に苦しみながらも、昨年にはないメンタル面での‟成長”は自らも実感している

生みの苦しみをたっぷりと経験したからこそ、賞金1億到達も2勝目も‟突破後”は自分の成長速度も増していくはず、というわけだ。

「それが、この1億円突破の意味であったりすると思いますし、2勝目ができたら、今度は3勝目が1~2勝目の間隔の半分でできるようになる下地になるんじゃないかと。そのために今はじっと経験を積み重ねる期間。チャンスが来たら……そこで何ができるか。その時に心技体でチャージをかけられる選手が後半に強い‟勝てる選手“なんだと思っています」

残り2試合で生涯獲得賞金1億円の壁、そして2勝目の壁、目の前にあるふたつの壁を突破することができるか、注目だ。

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