前半はショットがダフリ気味、後半はショットがキレるも……
朝、グレートアイランドGCの1番ティイングエリアは緊迫感に覆われていました。
シン・ジエ、鈴木愛、渋野日向子3選手の同組プレーとあって、平日の今日から多くのギャラリーがコースに足を運んでいましたが、その3人のスタート時は、人の数とは裏腹の静けさ。ギャラリーのみなさんも、この試合の持つ意味や、選手たちの緊張感がしっかりと伝わっていることがわかります。
渋野選手は1番から5番までパー。日本女子オープンから彼女のプレーはすべて見ていますが、今日はいつもより当たりが厚く、ショート気味。本人は口にしませんでしたが、緊張からなのか、体も動いていません。
初バーディがきたのは6番パー4。ピン右5メートルにつけてバーディを奪い、3人1アンダーで並びますが8番でボギーと、波に乗れません。とはいえ、シン、鈴木両選手も伸ばせず、前半を終えて鈴木1アンダー、シン、渋野はイーブンという重苦しい展開です。
迎えた後半、渋野選手はようやく肩の力が抜けてきたか、スウィングに軽みが出てきます。10番ではドライバーを軽く振り切り、セカンドを寄せてバーディ。11番でもセカンドを1.5メートルにつけるなど、ショットがキレ始めます。
13番パー5ではドライバーを振り切り、鈴木選手を30ヤード、シン選手を45ヤード置いていくビッグドライブ。しかし、このホールも上がってみればパーで、45ヤード置いていったシン選手がバーディ。ショットが良くなった後半はパットが決まらず、噛み合いません。16番でバーディを奪うも17番でボギーとスコアを伸ばし切れず、終わってみればトータル1アンダー。初日は36位タイという滑り出しでした。
鈴木愛、シン・ジエは“安全運転”で上位進出
今日、鈴木、シンの両選手はまずは安全運転といったプレー。パットもそこまで入りまくりという感じではありませんでしたが、鈴木選手は4アンダー6位タイ、シン・ジエ選手は3アンダー15位タイとスコアをまとめてきました。渋野選手にとっては、二人との技術の差、攻め方や力の差を感じさせられるラウンドになりました。ただ、そのなかで思い切りの良さやショットのキレ、飛距離といった渋野選手の数少ない武器を駆使して、精一杯戦ったとも言えると思います。
前半は当たりが厚く、ダフリ気味でしたが、「顔が早く上がってしまい球が右に出ていたとキャディさんとも話して、ボールをよく見るようにしたら、良くなってきた」とラウンド中に立て直す修正能力も見せてくれました。
今日は渋野選手の21回目の誕生日。最高のバースデーとはいきませんでしたが、まだ初日が終わったばかり。トップのユン・チェヨン選手とは5打差を追う展開となりますが、もちろんまだまだ何が起こるかはわかりません。
一方、万全な状態だったのが鈴木愛選手です。スコアを落とす気配を見せないままにスコアを伸ばしてくる盤石のゴルフ。それでも「明日以降、もっと良くなりそうだな」という気配をも感じさせてくれました。シン・ジエ選手は絶好調という風には見受けられませんでしたが、そんななかでも上位に入ってくるスコアメーク力はさすがの一言です。
渋野選手も、奥からのアプローチをスピンを効かせてピタリと止めたり、成長の跡は随所に見られます。フラストレーションの募る1日を終えると、大会主催の伊藤園からバースデープレゼントのサプライズプレゼントがあり、「イライラが吹っ飛びました」と笑顔を見せてくれました。
明日以降のシブコチャージはなるか。それとも鈴木愛、シン・ジエ両選手が地力を発揮してさらに突き放す展開となるのか。賞金女王争いは優勝争いと渾然一体となり、ますます盛り上がりそうな気配です。