「最近なんか飛ばないんだよなあ。クラブのせいかな?」と思っている人、いませんか? 気温の低下によって飛距離が落ちるのは当たり前、と話すのは業界屈指のギアオタクでクラブフィッターの小倉勇人。気温とスペックの関係を聞いた!

冬に飛ばないのは「寒さ」のせいです

みなさんこんにちは、ギアオタク店長の小倉です。今日はクラブを変えるときの注意点についてお話したいと思います。みなさんはクラブを買い替えるのはどんなときですか? 自身の調子が悪くなったとき? 新しいクラブが発売されたとき? それとも衝動買い? 色々なケースが考えられますよね。

弊店にもこの時期、買い替えを検討されている方が多く来店されます。このタイミングでいらっしゃるお客様は、たいてい「飛距離が落ちてきた~」とおっしゃいます。当たり前なんです、この時期に飛ばなくなるのは。飛距離は気温によって大きく左右されます。気温が低いほど空気の密度が高くなるので空気抵抗が増し、飛ばなくなるのです。

また気温が下がるとボールの性能が低下します。ゴムでできたボールが冷えると硬くなってしまい、本来の性能が発揮されにくくなるのです。これは練習場のボールでも同様。さらには洋服を重ね着することによる動きにくさ、そして筋肉も硬くなりやすく、関節の可動域も狭くなります。そんな状態ですから何気なく打っていつもより飛ばない……その結果を見て力む……飛ばなくなるスパイラルに陥るわけです。

画像: 冬はウェアを着こむことで体が動きにくくなり、意識していなくても飛距離が落ちやすい(撮影/姉崎正)

冬はウェアを着こむことで体が動きにくくなり、意識していなくても飛距離が落ちやすい(撮影/姉崎正)

そんな状態でクラブを買い替えるとなると、冬に調子が良くても夏になるとやや物足りないスペックになってしまう可能性があります。半年ごとにクラブを買い替える予定であれば良いですが、そんな豪勢な方は少ないでしょう。

気温に対しての一番の理想を言えば、2セット用意することです。重量は変えずに冬用にシャフトのフレックスをひとつ落としたセットを用意するのが、自身は何もせず気温の変化に対応できる方法でしょう。ですがそんなことはまず無理。

じゃあ一般的なゴルファーは今の時期に買い替えするときにどうすれば良いのかというと、以下の点を確認、理解して購入する必要があると思います。まずは寒い時期は簡単に飛距離が落ちること、体が夏と比べて動きづらいことを理解する必要があります。そういった中で自分に合ったクラブが欲しいのか、それとも適度な気温、もしくは夏の暑い時期に振れるクラブが欲しいのかを明確にしてからクラブを選ぶことです。

寒い時期に結果を出したいのであれば、今の時期の体に合わせて購入すれば良いですし、温かい時期に一番飛ぶクラブを今購入したいなら、インドアの練習場など温かい環境の中で、薄着で試打し、なおかつ弾道計測器などで弾道データをしっかり確認する必要があります。またそういったドライバーは寒い時期に打ってもめちゃくちゃ良い結果は得られないということも頭に入れておかなければ必要以上に自身のせいにはしなくて済むでしょう。

この時期飛ばなくなったなぁと感じたらまずは季節のせいにしてください。そのうえで、普段より柔らかいボールを使う、カチャカチャモデルであればロフトを少し増やす、などの対策をすれば飛距離低下を若干ですが、防ぐことができます。クラブを買い替えてもらうのは店長としてはうれしいのですが、できるだけ誤解なく、気持ち良く購入してもらいたいのでこんな話をしています。

結果「じゃあまた今度」といって購入されないとそれはそれでかなり切なくはなるんですけどね……。

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