女性の「プロコーチ」「指導者」養成の場に
岩本氏がレッスンと並行して目指すのが女性指導者の育成だ。20年以上前、米国にゴルフを学びに渡って以来「いつかは……」とあたためていたという。
レッスンを行う傍らで「女性指導者」の養成にも力を入れていくと語る岩本日本代表テクニカルコーチ
米国では女性もトップレベルの選手に携わるゴルフ指導者としての地位がすでに築かれており、男性同様にプロコーチとして指導を行う指導者も珍しくはないという。
「日本ではまだまだ『女子の指導者たちは、技術面は教えられない』といった風に見られる風潮が、少なからずあります。実際に現在の女子ツアーでも、選手に技術的な指導を行うプロコーチのほとんどは男性ばかり。もちろん、それがいけないわけではないですが、女性も女性でできることっていっぱいある。そういったものを学べる機会と場所を作りたいと。女性もプロコーチとして、指導者としての地位を確立していってほしいなと思っています」（岩本）
これは指導者を目指す層に関わらず、現役のツアープロやプロ目指すジュニア層にも「ゴルフを理論的に学ぶという点で通じる」とという。
「女子のプロの子のなかには、まだまだ周りの指導者から『言われるがまま』の子がたくさんいます。本当の意味でのレベルアップとは、まず自分がどうしたいか？ という意見を持つことからなんです。そのなかで色々なことを試して、発見があり、初めて自分の技術になる。そんなプレーヤーとしての自立を促せる場所にもなれると思っています」
今年の「トヨタジュニアワールドカップ」で女子日本代表の大会連覇に貢献した岩本氏（写真左端）と日本代表の選手たち（写真左から梶谷翼、山下美夢有、岩井明愛、角谷真吾監督）
以前ほどではないが、ゴルフ業界もまだまだ男性中心の構造。だが、職業としてのゴルフを体系的に学びたい女性も、プレーヤーとしてトップを志す女性も、ここに来れば最先端の施設で得たデータを取得でき、自分で疑問を解決し、納得できる。
「根拠のない『こうしなければ』という旧態依然の理論ではなく、データに基づいたなかで、女性たちも活発な議論をして頂きたいと。そのうえで『いいものは、いい』と判断できることが大事。そういう環境で切磋琢磨する女子選手がいて、選手のサポートを志す女性たちが勉強しあう場所、言わばラボ（研究所）のような場所になってほしいと思っています」
岩本氏を含めスタジオでレッスンを行うプロの指導者は全員が女性。初心者がゴルフを習いに行くだけの場所にとどまらず、業界における女性のプロフェッショナルを養成する場にもなりそうだ。
